やったこと
NEDOグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」に参画するプロジェクト担当者(経産省・NEDO・ゼネコン・セメントメーカー)へのインタビュー記事を整理。CO2をコンクリートに固定する技術と、廃コンクリートを活用したセメント原料の再生技術、2030年に世界市場15〜40兆円と予測されるCO2コンクリート市場への対応戦略を解説。
具体的な手順・工夫
コンクリートへのCO2固定:2つのアプローチ
- 骨材・混和材へのCO2吸収:産業副産物等から抽出したカルシウムにCO2を固定し、コンクリートの骨材・混和材として利用
- 養生時のCO2固定(CARBON POOLコンクリート):コンクリートの養生過程で特殊混和材にCO2を吸収させる。残コン・戻りコン(廃材)を再生骨材として活用
革新的カーボンネガティブコンクリート
- 目標:CO2吸収混和材・骨材の多様な現場条件での安定固定
- 課題:大型コンクリート部材・現場施工でのCO2固定量が実験室レベルに届いていない
- 体制:ゼネコン幹事企業+建設会社・セメントメーカー・生コン工場・大学の横断チーム
低炭素セメント製造:廃コンクリート活用
- 現状:セメント製造(石灰石CaCO3の熱分解)で国内製造業のCO2約2割=年間約4,000万トンを排出
- アプローチ1:NSPキルン(日本発の高効率焼成方式)を活かしながら酸素焼成でCO2高濃度化→CCUS回収設備をコンパクト化
- アプローチ2:廃コンクリート・一般焼却灰・製鉄スラグ・残コン汚泥からカルシウム源(CaO)を抽出→排出CO2と再結合して人工石灰石(CaCO3)を製造→セメント原料化。石灰石新規採掘が不要になる循環モデル
市場規模と競争状況
- 2030年CO2コンクリート世界市場:約15〜40兆円と予測(急拡大)
- 北米・豪州では既に関連技術が実用化進行中→国際技術競争が本格化
- 日本はNSPキルン方式の知財・技術優位性を活かし、アジア成長市場への横展開を狙う
品質管理と標準化の取り組み
- CO2固定量の評価・計測手法を標準化→「CO2固定コンクリート」の国際基準確立
- 現場での要求性能(強度・耐久性)を既存コンクリートと同等以上で確保
- 公共調達への適用を目指し、関係省庁・地方自治体・学会との横断連携を推進
得られた結果
- DAC・CCUSと組み合わせることで、コンクリートを長期間の固体CO2貯留体(CCSと同等)として機能させる可能性が実証段階に入った
- 廃コンクリート→人工石灰石→セメント原料の完全循環モデルが研究室レベルで実現し、大型化開発中
他社が参考にすべき点
- 建設・セメント業界はScope3 Cat.1(購入材料)対策として「CO2固定コンクリート・低炭素セメント」への切り替えを準備すべき:2026〜2030年の公共調達・大手ゼネコン仕様への採用が先行して始まる
- 廃コンクリートの循環活用は産業廃棄物コスト削減と脱炭素の同時達成手段:建設業・コンクリート製品メーカーにとって廃材の資源化+CO2削減が経営上のメリットになる
- 日本発のNSPキルン技術・評価基準は国際展開のアセットになる:欧米・アジアでの技術ライセンス・輸出可能性を見据えた戦略が重要