やったこと

アスエネメディアが公開した解説記事は、Scope3とは何か・算定する意義・実際の企業の取り組み事例を体系的に整理した。三井製糖とローソンの算定目的・活用方法を具体例として掲載し、これからScope3算定に着手する企業の担当者が「なぜやるのか」「どう使うのか」を理解できる構成になっている。

具体的な手順・工夫

Scope3算定の4ステップ

  1. STEP1:算定目的の設定——「全体像の把握」「削減計画立案」「外部開示」のうちどれを主目的にするかを先に固める。目的によって算定範囲・精度の優先順位が変わる。
  2. STEP2:算定対象範囲の確認——本社のみ・グループ全体・国内外など、自社のビジネス範囲を整理する。
  3. STEP3:カテゴリ1〜15への分類——サプライチェーン上流(購入品・資本財・輸送等)と下流(販売製品の使用・廃棄等)の全15カテゴリに対して、自社が関与するカテゴリを特定する。リース資産がない、フランチャイズ展開していない、などカテゴリが不要な場合は除外してよい。
  4. STEP4:カテゴリごとに「活動量×排出原単位」を合計——交通費や廃棄物量など活動量に政府公表の排出原単位データベース値を掛けて合計する。

企業事例①:三井製糖株式会社

  • 目的:経年比較による削減計画立案 + 従業員・関連会社への啓発 + CSR報告書・HP公表
  • 発見:算定により原料の購入と輸送がScope3の70%以上を占めることが判明し、最重点排出源を特定できた
  • 活用先:外部調査回答・CSR報告書・自社HPへの開示

企業事例②:ローソン

  • 目的3点:①社会的責任としてサプライチェーン全体CO2把握 ②カーボンオフセット実施のための商品別排出量算定 ③ステークホルダーへの情報開示
  • コンビニという業態で複数のScope3カテゴリ(購入商品・輸送・廃棄物)が大きく、目的を複数設定している点が特徴

SBT認定との関係

SBTはScope3排出量の算定・削減目標設定を認定要件に含む。大企業がサプライヤーにSBT認定を要請するケースが増えており、Scope3算定はサプライヤー側にとっても取引条件になりつつある。

得られた結果

  • Scope3算定により「見えなかった排出源の見える化」が実現し、削減優先領域が特定できる
  • CDP・有価証券報告書・CSR報告書への情報開示の基盤データとなる
  • サプライヤーへのCO2削減意識啓発のツールとして機能する
  • SBT認定取得・維持の要件を満たせる

他社が参考にすべき点

食品・流通・製造など調達規模の大きい中堅〜大企業向けの3つのポイント:

  1. 算定目的を最初に3択から固める——「全体把握」「削減計画」「外部開示」のどれかを最初に決めると、必要な精度・範囲が自動的に決まり、過剰な工数を防げる。
  2. カテゴリ特定で「除外してよいもの」を先にリストアップ——15カテゴリ全部は不要。リース・フランチャイズ・下流カテゴリで自社に該当しないものを最初に除外してから算定設計する。
  3. 三井製糖モデル——算定結果をまず「大排出源の特定」に使う——Scope3は複数カテゴリの合計なので、70%を占める上位2〜3カテゴリに集中することで削減投資対効果が高まる。