やったこと
Scope3カテゴリ6(出張)は、従業員の移動に伴うCO2排出量を算定・削減する取り組みで、多くの企業が算定難易度の高さゆえに概算にとどまっている。代替・転換・効率化・仕組み化・技術革新・動機付け・連携の7手法を組み合わせることで、実績として前年比30%削減も達成されている。
具体的な手順・工夫
算定の実務ポイント
- 基本式:「活動量(人km または 交通費)× 排出原単位」
- 排出原単位:環境省「サプライチェーン排出量算定用排出原単位データベース(Ver.3.5)」を参照
- 最大の課題:従業員ごとの正確な移動データ収集。旅費精算システムのデータから概算算定を始めることが現実的な第一歩
削減の7手法
- 代替:オンライン会議への切り替え推進。「距離XX km以上・重要度X以下の場合はオンライン」という出張要否判断の明確な基準を社内規定に明記する
- 転換:航空機→鉄道への切り替え。鉄道のCO2排出量は自家用車の約1/7。新幹線中心の国内出張が多い企業に即効性が高い
- 効率化:出張規定に「片道400km未満は鉄道原則」を明記(A社事例)。規定化することで従業員の選択基準が統一される
- 仕組み化:環境認証取得ホテル(LEED・BELS等)をリスト化し、従業員に推奨・予約優先化。ホテル側との交渉でカーボンオフセット証明書の提供を求めることも可能
- 技術革新:航空機利用時にSAF(持続可能な航空燃料)プログラムを活用してオフセット。JAL・ANAが対応プログラムを提供中
- 動機付け:削減貢献を評価・表彰する制度やポイント制を導入。「チームの出張CO2を5%削減したら予算にボーナスを付与」などのインセンティブ設計
- 連携:旅行代理店と協働し、サステナブルな選択肢(低排出交通手段・認証ホテル)を優先表示・提案する仕組みを構築
得られた結果(企業事例)
- A社(製造業):出張規定に「片道400km未満は鉄道原則」を明記→国内出張CO2を前年比約30%削減
- B社(サービス業):AI活用の出張管理プラットフォーム(移動手段の低排出オプション優先表示)を導入→利便性を維持しながら年間15%以上削減見込み
他社が参考にすべき点
まず旅費精算データで概算算定を開始し、「出張規定への鉄道優先ルール明記」と「環境認証ホテルリスト作成」の2施策が最もコストをかけずに実施できる。国際出張が多い企業にはSAFプログラムが即効策。規模・業種問わず適用可能だが、特に国内出張が多い製造業・サービス業に費用対効果が高い。