やったこと

リクロマ株式会社のコラムは、J-クレジット制度の「森林クレジット」について、概要・発行手順・自治体と企業の連携活用事例・課題(認証量1.3%・単価7,000〜15,000円/t-CO2)を整理した。ネットゼロ目標を持つ企業が「残余排出量のオフセット手段」としてカーボンクレジットを検討する際の実務ガイドとなっている。

具体的な手順・工夫

J-クレジット制度と森林クレジットの位置付け

J-クレジット制度:環境省・農林水産省・経済産業省の3省が運営する国認証クレジット。対象は3種類:

  • 省エネ設備導入による排出削減量
  • 再生可能エネルギーの利用による排出削減量
  • 適切な森林管理(植林・間伐等)によるCO2吸収量(→森林クレジット)

クレジット単価の比較

種別単価(目安)
再エネ・省エネ系J-クレジット約2,000円/t-CO2
森林クレジット約7,000〜15,000円/t-CO2

森林クレジットの発行手順(6ステップ)

  1. プロジェクト計画書の作成:J-クレジット制度運営委員会のフォーマットに従い計画書を作成
  2. 審査機関による妥当性確認:制度登録審査機関へ依頼(費用が発生)
  3. プロジェクト登録:計画書が承認されたらプロジェクトとして登録
  4. モニタリング実施:植林・間伐活動に基づくCO2吸収量を実測・計算
  5. モニタリング報告書の作成と審査:実施内容・算定方法が制度規程に沿っているか審査機関が検証
  6. クレジット認証申請・発行:有識者委員会の認証後、国からクレジットが発行される

自治体・企業連携の活用事例

北海道南富良野町 × 北海道ガス(2021年6月連携協定)

  • 北海道ガスが南富良野町の森林一部を長期保有・管理
  • 南富良野町振興公社が森林クレジットを購入→カーボン・オフセット証明付きカプセルトイを道の駅南ふらので販売
  • 「環境保全に気軽に参加できる」消費者向け仕組みとして展開

北海道中標津町

  • 防風林を定期的に間伐してCO2吸収量を向上
  • 地元企業が創出クレジットを購入→カーボン・オフセット活用
  • 森林由来J-クレジットをふるさと納税の返礼品として活用(購入者がオフセット実施)

森林クレジットの現状課題

  • 認証量の少なさ:森林クレジットはJ-クレジット全体の**1.3%**のみ
  • 使用割合:認証クレジットのうち実際に活用されたのは38%
  • 高単価が普及障壁:地権者調整・調査・書類作成等のコストで単価が高止まり(再エネ・省エネ系の約3.5〜7.5倍)

得られた結果

  • 自治体が独自に森林管理プロジェクトを立ち上げ、企業がクレジットを購入する「地産地消型カーボンオフセット」モデルが北海道で実現した
  • ふるさと納税との連携や道の駅カプセルトイ販売など、消費者・寄付者を巻き込んだ多様な活用方法が生まれている

他社が参考にすべき点

カーボンニュートラル推進担当・CSR担当・地方自治体向け:

  1. 森林クレジットはScope3削減が困難な「残余排出量」のオフセット手段として位置付ける——製造コスト削減・省エネ・再エネ導入で削減しきれない排出量をオフセットする最終手段として活用。「国認証」の信頼性があるため、CDP・SBT報告で認められやすい。
  2. 地元の森林や自治体とのクレジット創出連携が企業ブランド価値向上に直結する——北海道南富良野町×北海道ガスのモデルは「企業による地域森林保全のブランディング」として機能する。CSR活動と排出量削減の両立が可能。
  3. ふるさと納税返礼品として森林クレジットを活用する自治体モデルを参考に、地域密着型の脱炭素エンゲージメントを設計する——中小企業が大量のクレジット購入に踏み切れない場合でも、寄付・消費者参加型の仕組みを設計することでコミュニティ全体の認知と参加を促せる。