やったこと
2026年6月5日、経済産業省・国土交通省は洋上風力発電の「一般海域における占用公募制度の運用指針」を改訂した。背景は2025年8月に三菱商事コンソーシアムが秋田・千葉沖3件(合計約170万kW)の開発中止を決定したこと。「極端な低価格競争」と「過度に短いスケジュール提案」が事業撤退の要因として特定され、制度全体を事業完遂可能性優先に見直した。
改訂の5つの柱と具体内容
1. 価格評価の上限設定(採点方式の変更)
- 旧:最低入札者基準の相対評価→極端な低価格競争を招いていた
- 新:「想定供給価格幅」を導入。上限から幅以内なら一律120点満点
- 上限額での入札でも約100点(点差は最大20点に圧縮)→現実的な価格設定が可能に
2. 迅速性評価の削減・実行面評価の増加
- 迅速性評価:20点→10点に削減(短期スケジュール提案の抑制)
- 実行面評価:20点→25点に増加
- サプライチェーン評価:20点→25点に増加
- 採点方式:5段階評価→基礎基準55点+高度基準55点の積上げ方式
3. 認定有効期間終了後の占用継続ルールの整備
- 一定要件を満たす場合、国土交通大臣が原則として占用許可を付与
- 長期事業(25〜30年)の継続見通しが立てやすくなる
4. 情報管理の強化
- 海域情報・設置・維持管理過程で取得するデータ管理が公募計画の必須記載事項に追加
5. 計画変更ルールの明確化
- 「公共の利益の増進」または「やむを得ない事情」による変更フローを明文化
- サプライチェーン強靱化・「設計図書と施工環境の乖離」への対応が具体例として示された
事業者への実装上の影響
ポジティブ:
- 現実的なコストで入札できる(極端な低価格競争から脱却)
- 長期事業の継続性向上(占用許可の継続規定整備)
- 施工段階での環境変化への対応柔軟性が向上
負担増加:
- 高度基準(55点分)の具体的評価内容が不明確で、詳細な施工計画・SC体制・維持管理計画の準備が必須
- ローカルコンテンツ要求強化による調達選択肢の制約リスク
他社が参考にすべき点
洋上風力参入を検討している事業者・商社・メーカーは、次回公募に向けてサプライチェーン構築計画(25点)と実行面の具体証拠(25点)に注力することが最優先課題。改訂で「安く入れれば勝ち」から「実現できる事業計画を作れれば勝ち」に評価軸が変わった。