研究の概要
バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)の容量劣化を確率論的に予測する新しいフレームワークを提案した研究。従来の決定論的な劣化推定とは異なり、深層学習を活用してストレス要因に基づく容量損失の「予測分布」を生成する。不確実性を確率的劣化パスウェイを通じて伝播させることで、変動する運転状況下でも信頼性の高い推定が可能になる。
主な発見・成果
- セルレベルの予測値をシステムトポロジーと実運転上の変動性と統合し、個々の電池セルから完全なBESSシステムへスケールアップする手法を確立
- 複数年にわたる住宅用蓄電システムのフィールドデータを用いた検証で、95%予測区間が実測の残存容量と良好に一致
- 従来の研究室由来の電池セル劣化モデルとフィールドでの完全システム評価の間に存在するギャップを大幅に縮小
- 実運転条件下でのBESS資産管理のための実用的なデータ駆動戦略を提供
実務への応用
BESSを運用する電力会社・エネルギー事業者にとって、劣化予測の精度向上は保守計画の最適化と容量保証の信頼性向上に直結する。確率論的フレームワークにより「どのくらいの確率で何年後に何%容量が残るか」という問いに定量的に答えられるようになり、BESSの発注・更新サイクルや、容量契約の設計に活用できる。再エネ併設蓄電池(AC/DC結合型)の長期アセット管理にも応用可能。