やったこと

Scope 3 Peer Group(製造業・消費財・ライフサイエンス等グローバル企業による相互学習コミュニティ)が公開するリソースライブラリを整理。Schneider Electric・Haleon・Pfizer・Accentureほか各社が共有した実装テンプレート・ベンチマーク・戦略フレームワークの概要をまとめる。2026年6月シカゴ開催のStrategy DaysではSBTi NZS v2も初公開された。

具体的な手順・工夫

Schneider Electric:Zero Carbon Project(2021〜2025完了)

  • 対象:上位1,000社のサプライヤー
  • 達成:平均炭素強度53%削減(目標50%を超過達成)
  • 手段:①研修プログラム、②ガバナンス整備、③デジタルツール提供、④財務支援の4点セット
  • 次フェーズ(2026〜2030):対象を1,500社に拡大、Scope3排出量・PCF(製品カーボンフットプリント)・責任ある素材調達を統合した調達フレームワークへ進化

Haleon:Scope3削減モデル(57ヵ国対応)

  • Scope1&2:2020年比55%削減・再エネ100%達成済み
  • Scope3(電力):35〜45%削減が可能と試算。実施コストは当初試算の20%未満に収まると判明
  • プロセス:排出係数の精緻化 → ホットスポット可視化 → サプライヤーエンゲージメントの順番が重要
  • グリーン熱:ヒートポンプ・バイオメタン・バイオマス・グリーン水素を組み合わせ(Johnson Controlsと協業)

Pfizer:4I方法論でサプライヤー主導Scope3削減

  1. Identify:Net Zero Request for Solution(NZ-RFS)を発行し削減機会をサプライヤーと共同特定
  2. Insight:サプライヤーがサイトデータを入力し排出削減ポテンシャルを数値化
  3. Ideas:低炭素包装など共同ソリューション開発(コスト・品質・規制・安全要件も同時評価)
  4. Impact:スケーラブルな施策として正式実装し定量測定

Scope3成熟度ベンチマークレポート(170社以上)

  • 170社以上の詳細データに基づく業界横断ベンチマーク(無料公開)
  • 「計画段階 → 行動段階」への移行を妨げるボトルネックとその解決策を明示
  • Accentureの「Destination Net Zero 2025」調査と連動:G2000企業の73%がネットゼロ目標を保有するが大半は未達成ペース。Scope3が含まれると乖離が拡大

サプライヤー熱エネルギー脱炭素化ツール(ERM×Secaro)

  • 業種:化学・製造業(北米・欧州・アジア)
  • サプライヤーがサイトデータを入力 → 低炭素熱ソリューションを自動レコメンド
  • マッチングサービス付き(技術・金融パートナーへの紹介まで)

得られた結果

  • Schneider Electric:5年間でサプライヤー1,000社の炭素強度を平均53%削減
  • Haleon:57ヵ国にわたるScope3電力排出を当初コスト試算の20%未満で35〜45%削減可能と実証
  • Scope3成熟度ベンチマーク(170社)で「計画は立てたが行動できていない」企業の共通パターンを特定

他社が参考にすべき点

  • Schneider Electric型「4点セット」が鉄則:研修・ガバナンス・デジタルツール・財務支援のどれが欠けても動かない。1社にツールだけ渡しても使われない事例は多い
  • Haleonはコスト削減から入った:排出係数の精緻化で「どこが最安のAbatement Lever(削減手段)か」を特定し、当初試算の80%節減に成功。Scope3は「コストがかかる活動」ではなく「コストを精査する活動」として提案できる
  • Pfizer 4I方式は既存の調達RFPに追加するだけ:新しい組織・予算を作らなくてもNet Zero条件を調達プロセスに埋め込める
  • Scope3成熟度ベンチマーク(無料)で自社フェーズを測定:170社データで業界内の位置づけが分かり、経営層への説明材料になる