やったこと
ENEOSは2026年6月30日、国内初となるタンカーを使ったHVO(水素化植物油・Hydrotreated Vegetable Oil)の製油所直接輸入を実施した。横浜市の根岸製油所に入港し、既存の貯蔵タンクに受け入れた。現行のディーゼル燃料と同等の特性を持つ「ドロップイン燃料」として、既存インフラをそのまま活用できる点が特徴。あわせてブック&クレーム方式も併用し、顧客が物理的な燃料を受け取らなくても環境価値を利用できる仕組みを提供する。
具体的な手順・工夫
- タンカーによる大量輸入:海外産HVOをタンカーで製油所まで直送し、大規模な受け入れ体制を整備。これにより小ロット輸入と比べて調達コストを低減。
- 既存タンクへの受け入れ:新たなインフラ投資なしで既存貯蔵設備を活用。軽油と同等特性のため、既存のポンプ・配管・タンクがそのまま使用可能。
- マスバランス方式とブック&クレーム方式の併用:
- マスバランス方式:物理的なHVOをブレンドして供給
- ブック&クレーム方式:顧客が既存燃料を使用しながら排出削減の環境価値(クレジット)だけを購入
- 国内生産への展開:和歌山製油所でのSAF(持続可能な航空燃料)製造設備建設を計画しており、そのco-productとしてのHVO国内生産も視野に入れている。
得られた結果
- 国内製油所へのタンカーによるHVO輸入:国内初
- 既存インフラ無改造での受け入れ・供給体制を確立
- ブック&クレーム方式の提供により、設備変更ができない顧客でも脱炭素取り組みを可能に
- 国内生産(和歌山SAF設備)と輸入の統合調達モデルの土台を構築
他社が参考にすべき点
- 物流・運輸・重機械など既存ディーゼル設備を大規模に保有する業界(物流会社・建設業・農業機械等)は、設備交換不要でHVOに切り替えられるため移行コストが最小。
- ブック&クレーム方式は「物理的な燃料切り替えが困難な拠点」でも環境価値を調達できる手段。Scope1排出削減の数字に計上可能(報告方法の確認が必要)。
- エネルギー供給会社としての大規模輸入・製油所直受けモデルは、中間流通コストを削減する調達最適化事例。