やったこと
Scope3排出量(バリューチェーン全体の間接排出)の計測から削減目標設定・実行までの5段階プロセスを実務観点で体系化。CDP報告企業の平均でScope3が全排出の75%を占める実態と、SBTi要件への対応方法を解説。
具体的な手順・工夫
なぜScope3が重要か
- CDP報告企業の平均でScope3は総排出の**75%**を占める
- SBTi認定には「全Scope3排出量の67%以上をカバーする削減目標」が必要
- Bain調査:B2B購買者の50%がすでに環境配慮サプライヤーを優先、70%が今後3年で拡大予定
Scope3削減5ステップ
Step 1:棚卸し(インベントリ)
- GHGプロトコルのScope3基準(カテゴリ1〜15)に従い全上流・下流排出を特定
- 購入物品・製品輸送・従業員通勤・製品の使用・廃棄が典型的な主要カテゴリ
Step 2:ホットスポット特定
- カテゴリ別排出量の80/20分析で集中対象を絞り込む
- サプライヤーや製品ライフサイクル段階でどこに排出が集中しているかを可視化
Step 3:削減ロードマップ設定
- SBTiまたは社内目標に沿った削減パスを設計
- 自社コントロール可能な施策(サプライヤー切り替え・設計変更・輸送モード変更)を優先
Step 4:サプライヤーエンゲージメント
- 上位サプライヤー(排出の80%)に削減目標・報告フォーマットを共有
- 同業他社との協調アプローチ(業界共同イニシアチブ)でスケールメリットを活用
Step 5:Supply Chain Reductions(SCR)活用
- 自社での直接削減が困難な部分は、サプライチェーン全体での削減クレジット(SCR)を活用
- 経験豊富なパートナーとの連携が認証・報告の効率化につながる
得られた結果
- Scope3の体系的管理により、従来Scope1・2だけでは見えなかった75%の排出源への対策が可能に
- SBTi準拠により投資家・調達先からの評価向上と規制対応コスト低減を同時実現
他社が参考にすべき点
- まずカテゴリ3(燃料・エネルギー関連)とカテゴリ1(購入製品・サービス)から着手:多くの製造業・小売業でこの2カテゴリが最大
- SBTi認定には67%カバーが必要だが、最初から全15カテゴリを計測する必要はない:ホットスポット上位3〜5カテゴリで67%をカバーできるケースが多い
- サプライヤーエンゲージメントは「教育支援」から始める:データ収集ではなく、サプライヤーの排出可視化を先に支援することで協力率が上がる
- SCR(供給網削減)は「自社削減の補完策」:直接削減が難しい上流カテゴリへの現実的な橋渡し手段として有効