研究の概要
電力系統の不確実性に対応した水素統合コミュニティマイクログリッドの最適エネルギー管理を目的として、深層強化学習(PPO:近接政策最適化)を活用したフレームワークを開発しました。太陽光・風力・バッテリー・電解槽・水素貯蔵・燃料電池・ディーゼルバックアップの7種類のリソースを統合し、1,000世帯規模のオーストラリアコミュニティを対象に実証シミュレーションを実施しました。エネルギー管理をマルコフ決定過程として定式化し、11の状態変数と3つの連続制御アクションで系統運用を最適化します。
主な発見・成果
- 再生可能エネルギー比率91.2%を達成:通常運用時、再生可能エネルギーが総電力供給の91.2%を占め、炭素強度は0.085 kg CO₂/kWhという低水準を実現した。
- 年間営業収益A$195,690:1,000世帯規模で年間約19.6万豪ドルの純営業収益を達成。電力需要充足率99.77%という高い信頼性も確保。
- 停電リスク5%での堅牢性:系統停電確率が5%に上昇しても98.79%の需要充足率を維持し、A$169,892の収益を確保するレジリエンスを実証。
- バッテリー・水素の協調制御:PPOがバッテリーと水素貯蔵の最適なディスパッチ戦略を自律的に学習することを確認。
実務への応用
再生可能エネルギーを主体とした産業用・コミュニティ用マイクログリッドの計画段階において、水素貯蔵の導入規模と期待収益を事前にシミュレーションするためのフレームワークとして活用できます。特に系統信頼性が低い地域や離島でのグリーン水素活用の事業性評価に直接応用可能です。