研究の概要

再生可能エネルギーの大量導入に伴い、インバータベースのリソース(IBR)が電力系統の主要構成要素となる中、大規模なグリッド形成型インバータネットワークの安定性を効率的に検証する手法の確立が急務となっています。本研究は、系統規模での集中モデル構築を不要とする「クラスタベースの分散型小信号安定性認証フレームワーク」を開発しました。クラスタリング手法と小信号安定性理論を組み合わせ、局所情報と境界情報のみで安定性を検証します。

主な発見・成果

  • 分散化された安定性証明の体系化:完全分散型から集中型まで段階的に選択可能な安定性認証のファミリーを構築。グリッド規模の拡大に対してもスケーラブルな検証が可能。
  • バイナリ判定を超えた診断指標:従来の合格/不合格の二値判定にとどまらず、個別ノード・フィードバックループ・クラスタ間接続ごとに安定性制限要因を特定できる診断情報を提供。
  • エネルギー引数と小ゲイン理論の組み合わせ:角度-周波数サブシステムにはエネルギー引数を、電圧安定性には小ゲイン理論を適用することで、異なる動特性を持つサブシステムを統合的に扱える。

実務への応用

送電系統運用者(TSO)や大規模再エネ開発事業者にとって、グリッド接続審査や系統連系計画の効率化に直接貢献する研究です。系統全体の集中モデルを構築せずに局所レベルで安定性を事前評価できるため、大規模洋上風力や太陽光発電所のインターコネクション申請プロセスの迅速化が期待できます。