やったこと
三重県伊賀市に本拠を置く株式会社伊賀の里モクモク手づくりファームは、年間50万人が訪れる農業公園として新設したトマト・イチゴの温室ハウスの暖房熱源を、従来の化石燃料から木質バイオマス燃料加温機に切り替えた。削減したCO2量はJクレジット制度に申請して認証クレジット化し、農業経営の新たな収益源とした。
具体的な手順・工夫
Step 1: 加温機の選定と導入 加温機メーカーからの提案がきっかけとなった。新設温室ハウスの建設計画段階で暖房方式を比較検討し、木質バイオマス燃料加温機を選定。燃料(木質チップ・ペレット)の調達先を地元林業者と事前に契約し、安定供給ラインを確保してから設備を導入した。
Step 2: ベースライン設定とモニタリング計画の策定 従来の化石燃料暖房と比較したCO2排出削減量を算定するためのベースラインを設定。温室の面積・作物種・年間稼働時間をもとにエネルギー消費量を計算し、Jクレジット事務局へ提出するモニタリング計画を作成した。実際の燃料消費量を月次で記録する体制を整備した。
Step 3: Jクレジット申請と第三者検証 削減量の算定結果を第三者検証機関に審査依頼し、Jクレジットとして認証を取得。申請書類の作成にはメーカーのサポートも活用し、専門知識がない農業事業者でも対応できる体制をとった。
Step 4: 消費者向けの見える化とPR活用 CO2削減量を来園者への農業学習コンテンツとして活用。「この温室では年間〇tのCO2を削減しています」という形で掲示し、農業公園ならではの体験型環境教育として差別化した。カーボンオフセット商品への展開も検討段階に入った。
得られた結果
- CO2排出量: 年間40t削減(化石燃料比)
- 燃料コスト: 20%削減
- Jクレジット収益: 削減量を認証・売却し新収益源を確立
- PR効果: CO2削減の見える化により農業公園としての環境ブランドを強化
他社が参考にすべき点
農業・食品・観光農園事業者向け: 温室暖房の燃料切り替えはJクレジット取得の比較的シンプルな入口であり、専門チームがなくても加温機メーカーのサポートを活用すれば申請まで到達できる。重要なのは「新設設備の段階でバイオマス加温機を選ぶこと」——既存設備の改修より新設時の初期選択の方がコストと手続きの両面で有利だ。農業公園のように一般消費者との接点がある事業者は、削減量の見える化を来園者教育やPRに転用することで追加的なブランド価値を得られる。