やったこと
PwCが数千社の企業開示書類から数百万データポイントをAIで分析した「State of Decarbonization 2026年版」(2026年4月28日発表)を公開した。逆風の中でも企業の脱炭素コミットメントが予想以上に持続していることを定量的に示している。
具体的な手順・工夫
PwCはAIを活用して数千社の有価証券報告書・サステナビリティレポートなどの企業開示書類を横断的に分析。5つの主要観察結果を特定した。
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コミットメントの持続性: 82%の企業が目標達成時期を維持または前倒し。新規目標は7%増に留まったが、SBT(科学的根拠に基づく目標)認定など質的向上が顕著。
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資本配分の効率化: エネルギー価格高騰・補助金削減の中で、企業は脱炭素投資の「量」より「質」にシフト。エネルギー需要削減(省エネ)が最優先となり、供給側(再エネ導入)より高いROIを実現。
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Scope3の盲点: サプライヤーの活動・排出量を一貫してトラッキングしている企業はわずか18%。多くはTier1以上のサプライチェーンが不可視。
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製品レベルのScope3対策: Scope3目標に達成軌道に乗っている企業は製品ライフサイクル全体にサステナビリティを組み込んでいる割合が31%(未達成企業は19%)。サステナビリティ属性を持つ製品は6〜25%以上の収益プレミアムを実現。
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AIの活用: 60%の企業が脱炭素にAIを活用し始めているが、測定可能な成果を報告しているのは1%未満。
得られた結果
規制逆風・補助金削減・政治的プレッシャーの中でも、開示企業の脱炭素コミットメントは予想以上に耐性があることが確認された。財務規律と戦略的精度を重視した「次のフェーズ」への移行が進んでいる。
他社が参考にすべき点
脱炭素化の「次のフェーズ」は財務的合理性が軸——すべての施策を利益率・成長・レジリエンスへの貢献で評価する枠組みが必要。Scope3はサプライヤーエンゲージメントの強化と製品ライフサイクル設計への統合が次の主戦場。AIを脱炭素に活用している企業は多いが成果を出せているのは1%未満——「AIを使っている」と「成果を出している」の差は何かを考える必要がある。