研究の概要

垂直農場(植物工場)において、LEDを太陽光の光ファイバー導光システムで代替し、電力消費を大幅に削減できるかを技術・経済の両面から評価した研究です。フレネル集光型の太陽追尾システムと5種類の光ファイバーを組み合わせたシステムを垂直農場モデルと光線追跡シミュレーションで評価しました。

垂直農場は年間を通じて照明用電力が総エネルギーコストの大部分を占めるため、光源の省エネが収益構造に直結する課題です。本研究はLED代替の技術的可能性と現実的な経済条件を初めて定量化しました。

主な発見・成果

  • 電力削減効果: ファイバー種類により年間PAR(光合成有効放射)伝送効率は19〜27%。LED比で電力消費を35〜89%削減可能
  • 生産性トレードオフ: 採光のみ(LED補完なし)では作物生産性が52%低下。ハイブリッド(光ファイバー+LED補完)では生産性維持のまま約50%の省電力を達成
  • 経済性の壁: 現在の光ファイバーコストでは経済的に不成立。競争力を持つには約90%のコスト削減が必要
  • 最現実的な代替: 屋上太陽光パネルが最も競争力高く、年間電力の22%を賄いつつ11〜12年の投資回収期間

実務への応用

植物工場・垂直農場の脱炭素戦略として①短期的には屋上太陽光+LED継続が最良の経済選択 ②光ファイバー採光は技術的に電力削減効果が実証済みで、コスト革新があれば有力になる ③GXの文脈では農業の省エネ技術として正しく位置付けた上で、段階的な投資計画を立てることが重要