やったこと
自然エネルギー財団が2025年3月に公開した「コーポレートPPA 日本の最新動向2025年版」(全65ページ)を精読し、日本企業がScope2削減に取り組む際の主要手段であるコーポレートPPAの3契約形態と最新の導入状況を把握した。
具体的な手順・工夫
コーポレートPPAの3形態を理解する
| 形態 | 概要 | 利点 | 課題 |
|---|---|---|---|
| オンサイトPPA | 需要地点(敷地・屋根)に発電設備設置。送配電不使用 | 託送料・再エネ賦課金なし。20年固定価格 | 発電規模が用地に制約される |
| フィジカルPPA | 遠隔地に発電設備。電力と環境価値をセットで長期購入 | 発電設備を特定して調達できる。固定価格 | 需要地点の特定と不足電力の別途調達が必要 |
| バーチャルPPA | 環境価値(証書)のみを購入。電力は別途調達 | 従来の電力契約を変えずに導入可能。テナントでも可 | 市場価格変動リスクが生じる |
オンサイトPPA 国内最大級4事例
- 屋根設置:DMG森精機 伊賀事業所(13.4MW・年1,400万kWh、2023年2月〜20年契約)
- 地上設置:プロテリアル 熊谷磁材工場(9.7MW・年1,150万kWh、2024年2月〜)
- カーポート:宮崎大学 清武キャンパス(2.3MW・年300万kWh、2024年2月〜)
- 水上:Honda 熊本製作所(0.8MW、2024年2月〜20年契約)
フィジカルPPA事例:セブン&アイ・ホールディングス(3.1MW・電力100%供給、2021年6月〜20年)
バーチャルPPA事例:三菱UFJ銀行(9.6MW、2025年秋〜20年、小売電気事業者経由)
2024年度の契約単価動向 太陽光パネル価格低下の一方、施工費・損害保険料・金利上昇が単価を押し上げ。発電側課金・容量拠出金などの制度変更コストも単価に転嫁されつつある。FIT認定設備をFIPへ転換(FIP転)することで、陸上風力のオフサイトPPA契約も増加中。バーチャルPPAは従来の電力契約変更が不要なため、ビルテナントなどでも選ばれるようになっている。
得られた結果
オンサイト・オフサイト両形態でコーポレートPPA契約件数は増加を続けており、Scope2をゼロカーボン化する手段として定着。バーチャルPPAの普及で対象企業の幅が広がっている。
他社が参考にすべき点
- 屋根・駐車場・水面など未使用スペースがあればオンサイトPPAが最も早い。初期費用ゼロで20年固定価格の電力調達と再エネ賦課金削減を同時実現できる。
- フィジカルPPAは電力コスト固定化と追加性のある再エネ調達を両立できる一方、需要地点の特定と不足電力の調達計画が必要。
- バーチャルPPAはテナント企業・複数拠点を持つ大企業向き。ただし市場価格連動リスクを抑えるヘッジ設計(固定価格型等)が必要。
- FIT認定設備のFIP転換で太陽光以外(風力等)の調達単価を下げられる可能性がある。