実装ステップ

Scope 3カテゴリー1(購入した製品・サービス)の排出量算定は、多くの企業が支出ベースの推計に留まっている。EcoVadisとNovatの連携ツールにより、一次データへの移行が実用段階に入った。

ステップ1:EcoVadis Carbon Data Networkへの接続 EcoVadisのサプライヤー評価に参加している場合、既存の評価インフラ上でサプライヤーの一次排出データへのアクセスが可能。まずEcoVadis CDNにサインアップし、自社サプライヤーのカバレッジ状況を確認する。

ステップ2:Novatプラットフォームへのデータ連携 EcoVadis CDNから取得した検証済みサプライヤー排出データをNovatプラットフォームに連携。システムが自動的にScope 3.1の排出量を地域別・活動別の粒度で計算する。

ステップ3:一次データカバレッジの拡大 一次データが入手できない供給者については、部品表(BOM)データを使った推計がシステム内で補完される。Western Digitalの導入事例では、AIエージェントを活用したメール自動収集により一次データカバレッジを30%から90%に拡大している(参考事例)。

ステップ4:人間によるレビューと品質保証 システム出力は必ず担当チームが検証。データの「使用可能性・追跡可能性・防御可能性」を確認してから開示データとして確定する。自動化は効率化のためであり、専門家の判断を排除するものではない。

ステップ5:脱炭素戦略への反映 精緻化されたScope 3.1データをサプライヤーごとに分析し、削減ポテンシャルの高い調達先を特定。サプライヤーエンゲージメント計画(削減目標設定・技術支援)に反映する。

使うツール・標準

  • EcoVadis Carbon Data Network(CDN):サプライヤー一次データの収集・検証基盤
  • Novata ESGプラットフォーム:Scope 3.1算定・分析・開示
  • GHG Protocolサプライチェーン(Scope 3)基準
  • PCAF(金融機関向け炭素会計基準):投資家向けScope 3開示に適用

成功のポイント

  • 支出ベース推計のみで開示しているScope 3.1を持つ企業は、まずEcoVadisのサプライヤー評価カバレッジを確認する。既存のEcoVadis評価インフラが一次データへの橋頭堡になる
  • 一次データ100%を目指す前に、排出量・支出規模の大きいトップ20%の供給者から着手するのが効率的(パレート原則)
  • 投資家・金融機関への開示では、支出ベース推計値と一次データ取得値を区別して開示することで信頼性が高まる

日本企業への適用

SSBJ基準・GX推進法の文脈で、日本の大手製造業・商社はScope 3のサプライチェーン排出量の精緻化を求められている。EcoVadisはすでに日本国内のサプライヤー評価にも対応しており、グローバルサプライチェーンを持つ日本企業にとって、CDNを経由した一次データ収集は現実的な選択肢。GX経済移行債や気候変動開示義務化に向けた準備として、2026年度中に主要調達先のScope 3.1一次データ収集パイロットを開始することを推奨する。