やったこと
NECは2025年度に、従来の業界平均排出原単位に依存するScope3カテゴリ1算定の課題を解決するため、「一次データ(サプライヤ直接収集)×二次データ(産業連関表)」を組み合わせたハイブリッド算定方式を開発・実装した。算定支援システム「GreenGlobeX for Value Chain」を活用し、第三者保証も取得している。
具体的な手順・工夫
算定の基本メカニズム
- サプライヤポータルを構築し、サプライヤごとのCO2排出量実績と売上高を直接収集(一次データ)
- 収集できないサプライヤには調達額と産業連関表に基づく排出原単位(二次データ)を適用
- 両者を組み合わせてサプライヤごとの排出原単位を算出し、NECの調達実績に応じて配分・合算
データ品質管理
- AIによるウェブ情報の自動収集・分析で一次データを補完
- 収集データの選別プロセスを設け、異常値や不整合データを除外
- GHG Protocol Scope3 Standardへの適合性について第三者機関のレビューを実施し保証取得
システム活用
- 既存の調達システムデータと連携し、調達先・調達額の追跡を自動化
- 「GreenGlobeX for Value Chain」のサプライヤーポータルで収集・算定・開示を一元管理
得られた結果
2025年度の算定結果では、従来方式(業界平均原単位)との比較で大きな差が判明した。
- 新方式による算定値:約343万4,000トンCO2
- 従来方式の見込み値:約392万3,000トンCO2
- 差分:約12%(約49万トン)の過大計上が判明
この差は「サプライヤが実際に省エネや再エネ導入を進めてきた成果が、業界平均原単位では全く反映されていなかった」ことを示す。算定精度の向上とともに、サプライヤエンゲージメントの動機付けにもなる。
他社が参考にすべき点
- 業界平均原単位の限界を認識する:日本のScope3報告の大多数は二次データ依存で、サプライヤの実努力が算定に反映されていない。これは投資家・顧客からの信頼性への問いにつながる。
- 段階的移行が現実的:最初から全サプライヤの一次データ収集は困難。NECもハイブリッド方式を採用しており、重要サプライヤから優先的に一次データを収集するアプローチが有効。
- ツール整備と第三者保証のセット:算定の信頼性を担保するためには、収集・算定プロセスの第三者レビューがセットで必要。
- サプライヤの削減努力が算定に反映される仕組みが、サプライヤエンゲージメントの実効性を高める。