やったこと

Cascale・Aii・テキスタイル・エクスチェンジ・ZDHC財団の4団体で構成する「アパレル・アライアンス」が2026年7月14日、サプライチェーン・タクソノミー第2版を公表した。GHGプロトコルScope3カテゴリ1の算定精度向上と2030年目標(45%以上削減)達成を支援する業界共通分類体系の改訂版。

具体的な改訂内容と手順

改訂の主要3点

  1. 工程区分の重複解消

    • 従来のタクソノミーでは同一工程が複数のTierに重複して計上される設計上の問題があった
    • 境界定義を見直し、重複計上による過大評価を排除
  2. 湿式工程の全階層計上の明確化(最重要変更)

    • 染色・洗浄・仕上げなどの湿式工程は従来「Tier2」に関連付けられることが多かった
    • 改訂版では「全サプライチェーン階層(Tier1〜Tier4)にわたって把握・計上すること」を明確化
    • 湿式工程でのCO2・水・化学物質排出は複数Tierにまたがって発生するため、Tier2だけでは実態把握が不十分だった
  3. 分類項目の不足を補完

    • 新素材・新技術(リサイクル素材、バイオ素材など)への対応
    • 国際規制動向(EUデューデリジェンス規制等)への整合

更新サイクル

  • 原則として毎年更新予定
  • ステークホルダー意見・新素材技術・規制動向を反映

得られた(期待される)結果

  • GHG削減目標:2030年までに45%以上削減を業界目標として設定
  • データ比較性向上:企業間のScope3カテゴリ1データの整合性が向上し、バイヤーによる比較・要求が精度を持つようになる
  • 規制対応強化:EU CSRD・EUデューデリジェンス指令等での報告精度向上

他社・他業種が参考にすべき点

  1. 湿式工程の全Tier計上は他業種にも示唆:食品(加工・洗浄)・化学(精製・混合)など湿式工程を持つ業種では、Tier2だけでScope3カテゴリ1を把握していると過小計上になるリスクがある
  2. 業界共通タクソノミーの存在を確認する:Cascale/GHGプロトコルのように、業界別の算定ガイダンスが整備されている分野では、自社独自の分類より業界標準に準拠することで取引先・監査人への説明コストを下げられる
  3. 毎年改訂される基準に社内プロセスを対応させる:外部タクソノミーの改訂を自社の算定プロセスに反映するレビューサイクル(年1回)を社内で確立する必要がある
  4. 国内アパレル・繊維企業がEUのバイヤーから要求されるScope3報告に対応するための必須知識