実装のポイント

国土交通省は2026年度に直轄土木工事6件でグリーン鉄(水素還元鉄・電炉鉄)を試験導入し、「製造段階を含むCO2排出量(CFP:カーボンフットプリント)の算定方法」に関する実データを蓄積する。これは建設資材のScope3排出量管理において欠如していた「算定手法の標準化」に向けた重要なステップであり、経済産業省のGX需要創出・カーボンプライシング運営事業と連携して進められる。

具体的な手順

グリーン鉄のCFPを把握・管理するための試行工事の進め方:

  1. 資材選定: 鋼矢板・橋梁厚板など用途に応じた鋼材をグリーン鉄で調達
    • 水素・メタン混焼高炉タイプ(石炭の一部を水素・メタンに置換)
    • 電炉タイプ(鉄スクラップを電力で溶解)
  2. CFP算定: 採掘から製造・輸送までの全工程のCO2を経産省の算定スキームで数値化
  3. 知見蓄積: 供給体制・CO2削減効果・導入コストをデータとして記録・整理
  4. ガイドライン整備: 2030年度以降の公共工事での本格活用に向けて算定基準を標準化

2026年度選定6工事(主なもの):北海道開発局(一般国道5号仁木町銀山大橋)、中部整備局(松阪多気BP朝田高架橋)、中国整備局(福山道路赤坂東歩道橋)など。

得られた結果

試行工事は2026年度に順次開始されており、CFP算定の実績データはこれから蓄積される段階だ。ただし、技術ポテンシャルとして水素還元鉄は製造段階CO2を大幅削減でき、電炉材も電力構成次第で同様の削減が可能。建設業界では資材調達がScope3の大部分を占めるため、グリーン鉄の採用はScope3カテゴリ1削減の実効的な手段となる。2030年度以降の公共調達仕様への反映が見込まれ、民間建設事業者にとっても早期に算定手法を習得しておく価値がある。