やったこと

Sweep社VPのRenaud Bettinが、Capgeminiとの調査・複数企業の実装経験をもとに作成した2025年版「Scope 3 Emissions Playbook」。欧州CSRD(企業サステナビリティ報告指令)・CBAM(炭素国境調整メカニズム)の規制要件と、サプライチェーン炭素会計の具体的な4フェーズを解説した実務ガイド(ManoMano事例など複数の企業ユースケースを含む)。

具体的な手順・工夫

なぜ今Scope3に取り組む必要があるか

  • サプライチェーン排出量は自社直接排出(Scope1)の11.4倍という実態
  • Scope3を計測している企業はわずか28%(Scope1は61%、Scope2は42%)
  • **86%**の企業がサプライヤーに「グリーン資格の証明」を求めるようになっており、未対応は競合劣位に直結

CSRD規制要件

  • 従業員250名以上 または 売上5,000万ユーロ以上 または 資産2,500万ユーロ以上の企業が対象
  • 2025年度の財務年度分(2026年報告)からScope3排出量の開示が義務化
  • CBAM(EU炭素国境調整):グローバルサプライチェーンを持つ企業の輸入品に、内包炭素量に応じた価格が課せられる

フェーズ1:計測と計算方法の選択

方法精度導入難易度
業界平均値(セクター排出係数)易(入門として有効)
支出ベース(購買金額×排出係数)低〜中
サプライヤーベース(個別サプライヤーデータ)高(一次データ)
ハイブリッド(上記の混合)中〜高中〜難

フェーズ2:サプライチェーンのマッピング(パレート原則の適用)

  • 「上位20%のサプライヤーが排出量の80%を占める」というパレート原則を適用
  • 購買金額上位20%のサプライヤーを優先的に特定し、まずこのグループへのデータ収集に集中
  • ManoMano(欧州最大のDIYマーケットプレイス・出品者5,000社・商品1,900万点)はSweepプラットフォームで月次・四半期単位の炭素フットプリント監視を自動化

フェーズ3:ホットスポット特定と削減計画

  • 計測データから排出量の多い活動・サプライヤーを「ホットスポット」として特定
  • SBTi(科学的根拠に基づく目標)の基準に合わせたサプライヤー目標設定を要件化

フェーズ4:報告(現行基準)

  • GHGプロトコルのScope3基準・CSRD/ESRS(欧州サステナビリティ報告基準)準拠
  • CDPのSupply Chain調査への回答を報告の一形態として活用

得られた結果

ガイドに示された先行事例の定量値:ManoManoは月次・四半期の炭素フットプリント監視を自動化し、算定工数を大幅削減。パレート原則の適用により全5,000社への一括調査を回避し、上位集中でScope3 Cat.1の大半をカバー。

他社が参考にすべき点

CSRD・CBAM対応の優先アクション:①まず「支出ベース」で全Scope3カテゴリのベースラインを概算(1〜2ヶ月)→②購買額上位20%サプライヤーを特定しサプライヤーベースデータ収集に切り替え(精度向上)→③上位サプライヤーへのSBT設定要求を調達条件化(期限付き)→④CSRDの2026年報告を見据えた開示テンプレートをESRS準拠で準備。「全サプライヤーにデータ要請しない」が最も効率的な鉄則。SweepのようなSaaS活用で月次自動更新を実現するのが現実解。