やったこと
八千代ソリューションズ株式会社が製造業500社(n=500)に実施した複数回のオンライン調査(2024年5月・12月・2025年3月実施)と、それを踏まえた中小製造業向けカーボンニュートラル対応ガイド。「認識58.7%・行動不明49.3%」という認識と行動のギャップを解消するための実務手順を公開。
具体的な手順・工夫
中小製造業が直面している3つの圧力
- 規制・法令対応(改正省エネ法・年間1,500kL以上は大規模排出事業者として義務対象)
- 大手取引先からのCO2削減要求(Scope3として取引条件化が進行中)
- GX推進法に基づく将来的な炭素税・排出量取引の導入予定
Step1:Scope1・2のCO2排出量を算定する
- Scope1(ボイラー・加熱炉・社用車などの燃料燃焼)・Scope2(購入電力由来)を算定
- 環境省の「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」と無料Excelツールを活用すれば、専門家なし・無料で実施可能
- 電力消費量:電気使用量(kWh) × 電力会社の排出係数 で算出
Step2:削減優先順位を設定する
- 製造業では電力消費(Scope2)が最大排出源のケースが多い→省エネ設備更新・再エネ電力切り替えを優先
- 燃料消費(Scope1)削減は電化・燃料転換が必要で投資規模が大きい→第2フェーズ
Step3:省エネ・再エネ対策を実施する
| 施策 | コスト感 | 難易度 |
|---|---|---|
| コンプレッサーのエア漏れ修理 | 低 | 易 |
| 照明LED化 | 低〜中 | 易 |
| インバーターモーター導入 | 中 | 中 |
| 省エネ空調への更新 | 中〜高 | 中 |
| グリーン電力契約(再エネメニュー切り替え) | 追加料金発生 | 易 |
| 屋根設置太陽光発電(PPAモデル) | 初期投資不要 | 中 |
再エネ実施率は「22.4%のみ実施済みまたは実施中」(2024年12月調査)。「コスト・手続きの煩雑さが障壁」が最多(54.7%)。PPAモデル(初期費用ゼロで太陽光を屋根設置し電力購入)が有効な解決策。
Step4:取引先へのCO2排出量開示対応
- 大手取引先からScope3対応として自社データ提供を求められた場合、Scope1・2を回答できる体制を整える
- 現時点:精度の高い算定要求は限定的。将来的には「排出量証明書の提出」「SBT準拠」が増加見込み
- 今から記録・管理体制を整えることで将来対応コストを圧縮
活用できる補助金制度
- 経済産業省「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」(工場向け省エネ診断・設備更新補助)
- 環境省「脱炭素化に向けた建築物等の省エネ対策支援補助金」
- 中小企業庁「ものづくり補助金(GX推進枠)」
補助金活用率はわずか19.3%(2025年3月調査)。顧問会計士・商工会議所・業界団体を通じた情報収集が第一歩。
得られた結果
- 調査500社中、カーボンニュートラルを「経営上の重要課題」と認識:58.7%
- 「何から着手すべきかわからない」:49.3%(認識と行動の大きなギャップ)
- 再エネ電力切り替え実施済み・実施中:22.4%
- 補助金・支援制度を活用中:19.3%(活用率の低さが対応遅れに直結)
他社が参考にすべき点
中小製造業がカーボンニュートラル対応を始める最速手順:①環境省の無料ExcelツールでScope1・2を算定(専門家不要)→②電力消費(Scope2)が最大排出源なら省エネ設備更新・グリーン電力契約から着手→③PPAモデルで初期費用ゼロの太陽光設置を検討→④ものづくり補助金GX推進枠・商工会議所経由で補助金情報を収集。「すべてを一度に対応する必要はない」—スモールスタートが最重要。
