やったこと
CARBONIX MEDIA(CO2排出量算定SaaS「CARBONIX」の提供元・Sustech Inc.)が公開したカーボンオフセット実務ガイド。2050年カーボンニュートラル目標に向けて企業が実際に「削減しきれない排出量を相殺する」ためのステップと国内3種のクレジット制度を解説。
具体的な手順・工夫
カーボンオフセットが必要になる背景
- 省エネ・再エネ施策で削減できる排出量には技術的・経済的な上限がある
- 削減困難な残余分については、クレジット購入で相殺する手法がカーボンオフセット
- 注意:オフセットのみに頼る「カーボンニュートラル宣言」はグリーンウォッシュと見なされるリスクがある
企業がカーボンオフセットを進める5ステップ
STEP1:社内で体制を整える
- 目的を明確化することが最重要(「取引先に言われたから」では継続しない)
- 推奨目的の例:温室効果ガス排出削減に責任を持ち社会貢献する・環境価値でブランディング向上・商品のオフセット価値付与で差別化
- 予算・担当者・管理体制を確定
STEP2:現状のCO2排出量を調査・把握する
- 算定対象:サプライチェーン・バリューチェーン全体(製品の場合はライフサイクル全体)
- 算定フロー:①排出活動の把握 → ②算定対象範囲の決定 → ③算定ツール活用でCO2排出量を算出
- 専門的知識が必要な場合はSaaSツール(CARBONIX等)の活用が実用的
STEP3:CO2排出量の削減を進める
- まず実質的な削減を最大化してからオフセットを適用(削減努力なきオフセットはNG)
- 具体的施策例:社内設備の省エネ化・コピー用紙リサイクル・公共交通機関利用推進・再エネ電力調達
STEP4:削減できない部分をオフセットする(クレジット購入)
国内で活用可能な3種のクレジット制度:
| クレジット名 | 運営 | 特徴 |
|---|---|---|
| Jクレジット | 国(経産省・環境省・農水省) | 再エネ・省エネ・農林業分野の削減・吸収量を認証。経団連カーボンニュートラル行動計画の目標達成など多用途。最も汎用性が高い |
| Jブルークレジット | ジャパンブルーエコノミー技術研究組合 | 海洋生態系(藻・水草・マングローブ等)によるCO2吸収をクレジット化(ブルーカーボン)。2020年開始。CSR・海洋保全アピールに有効 |
| 地域版Jクレジット | 各都道府県・市町村 | 自治体が国の認証基準に則り運営。Jクレジットと同様に活用可。地元自治体との関係強化に有効 |
STEP5:情報を公開する
- 自社Webサイトでの取り組み公表・CO2削減実績の数値開示
- エコアクション21などの環境認証取得
- 取引先への定期報告
- 注意:「宣言だけで実績がない」状態はグリーンウォッシュ批判のリスク。実際の削減実績(数値・前年比)を合わせて公表することで信頼性を確保
得られた結果
Jクレジット制度は最も汎用性が高く、経団連の行動計画・SBT目標・GHGプロトコル準拠の報告に幅広く活用可能。Jブルークレジットは差別化目的(CSR・海洋保全)での活用に特化している。
他社が参考にすべき点
カーボンオフセット実施の鉄則:①まず「省エネ・再エネでの実質削減」を最大化してからクレジットを購入(逆順はグリーンウォッシュ)→②目的に応じてクレジットを選ぶ(汎用性重視ならJクレジット/海洋保全CSRならJブルークレジット/地元自治体連携なら地域版)→③削減量+オフセット量+クレジットの第三者認証情報をセットで公表。ブランディング目的で始めるなら「どのクレジットを買ったか・なぜ選んだか」まで情報開示すると信頼性が上がる。
