研究の概要

リチウムイオン電池の代替として注目されるナトリウムイオン電池の層状酸化物正極において、鉄を媒介として格子酸素レドックスの可逆性を高める手法を開発した研究。格子酸素レドックスはエネルギー密度向上に有効だが、従来は構造劣化による不可逆性が課題だった。本研究では鉄の導入により安定した200 Wh/kgを達成した。Nature Energy掲載(2026年8月)。

主な発見・成果

  • 鉄媒介により格子酸素レドックスの可逆性を大幅に向上
  • エネルギー密度200 Wh/kgと構造安定性を両立(従来は二律背反)
  • 充放電サイクルを通じた構造劣化を抑制
  • ナトリウムイオン電池の実用化に向けた重要な材料科学的ブレークスルー

実務への応用

リチウム資源の地政学リスクを回避できるナトリウムイオン電池は、定置型蓄電システム(BESS)の大規模展開に向けた有望な代替技術。200 Wh/kgの達成は実用レベルへの到達を示し、再生可能エネルギーの余剰電力貯蔵・グリッドバランシング用途での採用検討を現実的にする。GXインフラ投資(蓄電池調達・サプライチェーン戦略)において、ナトリウムイオン電池を選択肢として明示的に評価する段階に来ている。