やったこと
省エネルギーセンターが実施した「省エネ診断」の2025年度事例集を公表。食品製造(株式会社アミノアップ・北海道・99名)、宿泊業(VSTMアキタパークホテル・秋田市)、公共施設(塩尻市民交流センター・関東・1,500〜1,700人/日)の3ケースについて、診断提案内容と診断後の取り組み状況を数値付きで公開した。
具体的な手順・工夫
CASE 1 アミノアップ(機能性食品原料製造、99名)
- ボイラ運転台数の見直し: 常時3台運転→2台に変更し低負荷状態を解消。省エネ11.2kL/年・1,463千円/年(コスト不要)
- 冷凍機冷却水温度引き下げ: 夏期の冷却塔設定温度を30℃→25℃に変更。省エネ4.6kL/年・589千円/年
- AHCC濃縮工程の多重効用化: 単一効用の蒸気濃縮装置を多重効用化し蒸気消費量を大幅削減。省エネ61.4kL/年・8,029千円/年(設備投資6,000万円・回収7.5年)
- 全熱交換器導入: 廃熱で外気を予冷却し空調電力削減。省エネ9.7kL/年・1,247千円/年(回収4.8年)
- 冷却水循環ポンプのインバータ化: バルブ絞り→インバータ制御でポンプ電力を削減。省エネ8kL/年・1,030千円/年(回収1.1年)
- 総合効果: エネルギー107kL/年削減・コスト13,955千円/年削減・CO2 253t-CO2/年削減
CASE 2 アキタパークホテル(宿泊業、約150人/日)
- 白熱電球のLED化: 客室の白熱電球54W×332個・36W×131個を一括交換。省エネ8.4kL/年・1,237千円/年・設備投資926千円・回収0.7年
- 蒸気配管バルブの保温: 交互使用ボイラの未保温バルブに断熱材施工。省エネ1kL/年・89千円/年(回収1.8年)
- 太陽光発電設備の自家消費導入: 屋上に20kWシステム。省エネ3kL/年・759千円/年(回収7年)
- セントラル空調→個別EHP更新(参考提案): A重油使用のチラー+ボイラ方式を個別EHP化し年間23kL/年・1,820千円/年削減(概算投資2,000万円)
- 総合効果: 15kL/年・2,727千円/年・CO2 38t-CO2/年削減
CASE 3 塩尻市民交流センター(公共施設・図書館、1,500〜1,700人/日)
- 全熱交換器の夜間停止: 閉館後も連続運転していた全熱交換器79台(37.6kW)・給排気ファン37台(17kW)を閉館後停止(停止時間9h/日×360日)。省エネ36.4kL/年・2,759千円/年(コスト不要)
- 空調設定温度の緩和: 冷房22℃→23℃・暖房24℃→23℃に1℃ずつ変更。省エネ13.5kL/年・1,024千円/年
- 照明間引き点灯: 過剰照明の1階図書館棚上間接照明を90W×2灯/台×70台→1灯/台に変更。省エネ4.8kL/年・364千円/年
- 変圧器の統合: 低負荷運転していた変圧器6台を4台に統合。省エネ2.9kL/年・220千円/年(回収1.8年)
- 総合効果: 162kL/年・12,261千円/年・CO2 271t-CO2/年削減
得られた結果
- 公共施設・大規模ビルでは「夜間の設備停止」だけで年間36kL以上・270万円超の削減が実現(コストゼロ)
- 食品製造の蒸気系設備(ボイラ台数制御・濃縮工程多重効用化)が省エネポテンシャル最大
- 投資回収期間が最短なのは照明LED化(0.7年)と配管保温(0.4年)で即効性が高い
- 工場・施設の業種問わず、省エネ診断で「コストをかけずに実行できる運用改善」と「投資改善提案」の両方が提示される
他社が参考にすべき点
省エネ診断を受ける前に確認すべき優先順位: ①ボイラ・コンプレッサの台数制御(複数台並列低負荷運転は最大の無駄) → ②夜間・休日の設備停止(全熱交換器・給排気ファンのタイマー制御でコストゼロ改善)→ ③照明LED化(白熱電球・蛍光灯残存施設は回収1年未満)→ ④配管・バルブの保温(小規模投資で回収0.5年以内)。省エネルギーセンターの「省エネ診断」は中小企業向けに無料実施。ものづくりGX推進枠・省エネ設備投資促進補助金と組み合わせると投資案件の回収期間をさらに短縮できる。2027年末に蛍光灯製造・輸入が廃止されるため、LED化の計画的前倒しが推奨される。
