やったこと
国際航業のエネがえるチームが2026年1月に公開した「2026年日本国内再生可能エネルギー調達・市場制度の包括的解析レポート」で、日本の電力市場に同時に押し寄せる「三重の衝撃」(①容量市場コスト激増 ②FIP制度拡大 ③GHGプロトコル環境価値評価の厳格化)と具体的な企業対応策を体系化した。
具体的な手順・工夫
【衝撃①】容量拠出金の異次元的上昇(2026年度)
- 2026年度(2022年度オークション結果適用)の全国平均約定価格:7,552円/kW
- 比較:2024年度1,496円/kW(制度開始初年)→2025年度3,538円/kW→2026年度7,552円/kW(2024年度比5倍)
- 地域差:北海道・九州エリアは8,749円/kW(全国平均を超える高負担)
- 企業へのコストインパクト試算(従量課金方式):電気代に1kWhあたり2〜4円上乗せ
- 契約電力500kWの工場では月額約100万円のコスト増も
- 対抗策:デマンドレスポンス(DR)・蓄電池でピーク時間帯の受電電力を削減し容量拠出金転嫁額を抑制
【衝撃②】FIP制度の強制適用範囲拡大
- 2026年度より50kW以上の再エネ設備へのFIP強制適用拡大
- 発電事業者はインバランスリスクを負うため、電力市場での時間単位マネジメントが必須
- PPA購入側企業への影響:PPA価格・契約条件が変化する可能性。既存PPAの再検証が必要
【衝撃③】GHGプロトコル改定と環境価値の「質の競争」への移行
- Scope2報告の論点:従来の「年間マッチング(何kWh再エネを調達したか)」→24/7 CFE(時間・場所の一致)へシフト
- GoogleやMicrosoftが主導する「いつ・どこで発電された再エネか」を問う評価軸が国際基準化しつつある
- JEPX非化石価値取引市場でトラッキング高度化(30分単位で発電元を特定可能)が進行中
最新PPA事例(2025〜2026年)
①【バーチャルPPA】JR東日本×Daigasエナジー:
- 北海道の大型風力発電所と東日本の電力使用をバーチャルで紐付け
- 大企業が直接PPA市場に参入するモデルの代表例
②【オフサイトフィジカルPPA】三井不動産×北海道電力:
- 北海道内の再エネ電源を三井不動産の施設に専用線で供給
- 地域密着型・発電電力の物理的な紐付けを重視するモデル
③【自己託送】Nifco等製造業:
- 自社または関連会社が発電設備を所有し、一般送配電事業者の系統を借りて自社施設へ送電
- 系統利用コストがかかるが環境価値の帰属が明確になる
得られた結果
容量市場の急騰で「再エネPPAを導入しても電気代が高い」局面が到来しつつある中、ピークマネジメント(蓄電池・DR)と再エネPPAを組み合わせた「コスト防衛×脱炭素」の一体設計が求められる。国際基準では「量より質(24/7 CFE)」が問われ始めており、2026〜2028年にかけて証書調達だけでは不十分になるリスクがある。
他社が参考にすべき点
- 2026年度以降の電気代見直しでは容量拠出金(kW課金)の転嫁額を確認し、デマンドピークカット(蓄電池・DR)で対抗する
- 北海道・九州拠点は容量拠出金が全国平均より高いため、オンサイト太陽光+蓄電池の自家消費への移行が特に効果的
- バーチャルPPA・自己託送は大企業向けだが、オフサイトフィジカルPPAは中堅企業でも実装可能なスキームが増えている
- GHGプロトコル改定に備えてJEPX非化石証書の購入を30分単位トラッキング付きへ順次移行し、24/7 CFE対応の準備を始める
