やったこと
住友金属鉱山(住鉱)が、国内初となる商業規模のリチウムイオンバッテリー(LiB)リサイクルプラントを愛媛県に建設し、2026年9月11日に竣工した。使用済み車載バッテリー等から**ニッケル(Ni)・コバルト(Co)・リチウム(Li)・銅(Cu)**を回収し、再びバッテリー正極材の原料に戻す「電池to電池」水平リサイクルを国内で初めて商業規模で実現した。
本プロジェクトはNEDO「グリーンイノベーション基金事業」の支援を受け、2024年に建設を開始。関東電化工業との連携により、三工程の一貫プロセスを確立した。
具体的な手順・工夫
処理フローは大きく3段階で構成される。
- 無害化・破砕・選別(愛媛県西条市 東予工場):使用済みLiBを安全に解体し、破砕・選別してブラックマス(活物質粉末)を得る。
- 乾式・湿式精錬でNi・Co・Li回収(愛媛県新居浜市 ニッケル工場):ブラックマスを住鉱独自の乾式工程+湿式工程で処理し、高純度のNi・Co混合液を抽出。Ni・Coは愛媛県新居浜市の磯浦工場でバッテリー正極材原料に再製造。
- 高純度リチウム回収(関東電化工業):Li成分を関東電化工業の工程で高純度リチウム化合物として回収。
複数企業とのパートナーシップ協定によりサプライチェーン全体でのバッテリーリサイクルループを構築している。
得られた結果
- 処理能力:LiBセル換算で年間約1万t(国内商業規模として初)
- 回収資源:Ni・Co・Li・Cuの4金属を一貫回収
- 回収したNi・Coはバッテリーグレードの正極材原料として再利用、Liは高純度リチウム製品として供給
- サプライチェーン全体での水平リサイクル体制を国内に初確立
他社が参考にすべき点
- 「電池to電池」を実現する鍵は工程の垂直統合と外部連携の組み合わせ:住鉱単独ではなく関東電化工業との分業でLi工程をカバー。自社の強みと外部技術を組み合わせる設計が商業化の現実解。
- NEDO補助(グリーンイノベーション基金)の活用:大型設備投資のリスクをNEDO補助で軽減。蓄電池リサイクル分野はGI基金の重点支援対象であり、補助申請ルートを早期に検討すべき。
- 既存製錬設備との統合:ゼロから建てるのではなく、既存の東予工場・ニッケル工場に処理工程を追加する形で投資を最小化した。既存冶金・製錬インフラを持つ企業には同様のアプローチが有効。
- 「ブラックマス」を中間産物として設計:解体・選別工程を分離し、ブラックマスを標準的な中間投入物として位置づけることで、処理量の拡張・縮小が柔軟に行える。
