概要

ICAO(国際民間航空機関)が設計した**CORSIA(国際航空のためのカーボン・オフセットと削減スキーム)**の第1期(2024〜2026年)が進行中だ。韓国の航空会社Trinity Airwaysが投資証券会社NH投資証券との提携を通じて2万トンのCORSIA適格排出ユニットを先行取得した事例は、2028年1月の決済期限に向けた業界の動向を示している。

CORSIAの仕組み

  • 第1フェーズ(2024〜2026年):試験・自主参加フェーズ
  • 第2フェーズ(2027年〜):より多くの国が参加する拡大フェーズ
  • 決済期限:2028年1月(第1フェーズ分のオフセット提出締め切り)
  • 対象:国際線フライトによるCO2排出量のうち、2019年ベースラインを超えた分

実装ステップ

1. 自社の排出量基準値(ベースライン)を算定する

2019年の国際線排出量を算定し、CORSIA計画への報告体制を確認する。ICAOのCORSIA Central Registry(CCR)へのデータ報告義務を把握する。

2. 必要オフセット量を推計する

路線別の成長率を考慮して2024〜2026年のオフセット必要量を推計。Trinity Airwaysのように「必要量の10%以上を2026年末までに確保」する目安で計画を立てる。

3. CORSIA適格排出ユニット(CORSIA Eligible Emissions Units)を調達する

ICVCMのCCP承認クレジットや、Verra VM0049等のICVCM承認方法論由来のクレジットがCORSIA適格の候補となる。カーボン市場ブローカーやカーボン金融機関(NH投資証券の事例のように国内金融機関も参入)を通じて調達する。

4. 自国ETSとの連携を評価する

韓国の事例では、CORSIAコンプライアンスと国内K-ETS(韓国排出権取引制度)への参加を並行して進めている。日本ではGX-ETSとCORSIAの整合を確認し、ダブルカウントなく対応する。

5. 2028年1月の決済に向けたスケジュール管理

適格ユニットの購入・保管・キャンセル(抹消)の各ステップをICAOの手続きに沿って実施。キャンセル期限の逆算でスケジュールを管理する。

使うツール・標準

  • ICAO CORSIA実施マニュアル(CORSIA SARPs):技術仕様・報告要件
  • CORSIA Central Registry(CCR):排出量データ報告・ユニット管理
  • ICVCM コアカーボン原則(CCP):適格ユニットの品質基準
  • Gold Standard・Verra VCS:CORSIA適格クレジット発行の主要レジストリ

成功のポイント

  • 2028年の決済期限は「2026年末時点でどれだけ確保できているか」が実質的な目安
  • カーボンクレジット市場は2026年に向けて需要増・価格上昇が予測されており、早期調達がコスト管理に有効
  • BCGの最新調査でも「クレジット購入者はより高い価格を受け入れる意向がある」と報告されており、品質重視の調達が市場トレンド

日本企業への適用

日本の国際航空会社(JAL・ANA等)はCORSIAの自主参加フェーズに既に参加している。GX-ETSとの整合を踏まえた国内制度とCORSIAの二重対応体制の構築が急務。また航空会社のサプライヤー(空港・地上ハンドリング等)にとっても、航空会社からのScope 3削減要求が強まる局面を踏まえた準備が必要だ。