実装ステップ
Brightlyは食品廃棄物削減によってVerraカーボンクレジットを発行した世界初の事例の一つ。Verraが新たに策定したVM0046方法論(食用余剰食品の人間向け食料システムへの回帰)を活用し、3年半で721,649 VCU(Verified Carbon Unit)を発行した。以下がプロジェクト実装の手順。
Step 1: ベースラインシナリオの設定(VM0046方法論) 「食品を廃棄した場合(埋立地での分解によるメタン・CO2排出)」をベースラインとして設定。これが回避される排出量の算定基準になる。
Step 2: フードレスキューネットワークとの契約 Feeding America系フードバンクと独立系非営利フードレスキュー団体と提携。米国全50州・約97%の郡をカバーするネットワークを構築した。規模と地理的カバレッジが方法論の信頼性要件を満たす上で重要。
Step 3: 排出量算定ロジックの適用 埋立地での食品廃棄分解CO2換算値から、フードレスキュー活動自体のオペレーション排出量(輸送トラック・冷蔵設備等)を差し引いた実質的な回避排出量を算定。2020年3月〜2023年12月の153億ポンドの食品救済に対し、ヒストリカルベースラインと活動排出量の調整後に31億ポンドがクレジット適格となった。
Step 4: 独立機関によるバリデーションと検証 SCS Global Servicesが独立してバリデーション・検証を実施。その後Verraが審査・承認。BeZero Carbonが「A ex-ante」レーティング(1クレジット=1 tCO2e回避の高い蓋然性)を付与。
Step 5: クレジット収益のフードレスキュー組織への還元 純収益のほとんどは参加フードレスキュー組織に還元され、トラック・冷蔵機器・人件費・配送インフラへの投資に充てられる。これによりプロジェクトの継続性が確保される。
使うツール・標準
- Verra VM0046(食品廃棄物削減方法論)
- BeZero Carbon(クレジット品質レーティング)
- GHGプロトコル(メタン・CO2の換算係数)
成功のポイント
方法論の新規性が最大の障壁だった。VM0046策定にBrightlyが関与し、方法論の承認と同時にプロジェクト登録ができたことが迅速な発行につながった。独立検証機関の選定と品質レーティングの取得がバイヤーの信頼確保に直結した。
日本企業への適用
日本の食品メーカー・小売業は食品ロス削減の取り組みをScope 3カテゴリ11(製品使用後廃棄)やバリューチェーン排出量削減として報告しているが、ボランタリーカーボン市場でのクレジット化は進んでいない。VM0046を参考に自社または業界共同でフードレスキュー活動のクレジット化スキームを検討する余地がある。フードバンクへの余剰食品提供に既に取り組んでいる企業にとっては、追加的な削減コストなしにクレジット収益を得られるモデルになりうる。
