やったこと
ISOが2026年にISO 14068:2026(カーボンニュートラルに関する国際規格)を発行した。前身のISO 14068-1:2023から改訂され、カーボンニュートラル達成の手順として「排出削減・除去を優先し、オフセットは最後の手段」という序列を明確に義務付けた。企業・製品・サービス・建物・イベントなど幅広い対象に適用される。
具体的な手順・工夫
ISO 14068が定める4ステップ(この順序を守ることが要件):
- 算定(Calculate): 事業活動全体のGHGフットプリントをScope 1・2・3で算定する
- 削減(Reduce): 業務改善・エネルギー効率化・燃料転換等による直接・間接排出量の削減
- 除去強化(Remove/Enhance removal): バリューチェーン内での除去活動の強化(植林・DACCS・BECCS等)
- 残余のオフセット(Offset): ステップ1〜3で対応しきれない残余の排出量にのみオフセットを適用
ネットゼロとの違い:
- ISO 14068(カーボンニュートラル):残余の排出量をオフセットで補完することを許容
- ネットゼロ(SBTi等):オフセットによる補完を原則認めず、実際の排出ゼロを要求
→ オフセットに依存した従来型の「カーボンニュートラル宣言」は、今後は国際規格上も「不適切」と判定されうる。
継続的改善要件: 規格はカーボンフットプリントが「年々減少する」ことを要求。一度取得して終わりではなく、毎年の削減進捗が必要。
日本企業が整備すべき内部ガバナンス:
- GHGフットプリントのベースライン測定(算定ロジックと境界の文書化)
- 年次削減ロードマップの策定と進捗モニタリング
- バリューチェーン内の除去活動(サプライヤーの植林等)の定量化
- 第三者検証による宣言の信頼性確保
得られた結果
改訂の主な効果として、「オフセット依存型のカーボンニュートラル宣言」と「実質的な削減によるカーボンニュートラル」を国際規格上で明確に区別できるようになった。投資家・取引先・行政によるグリーンウォッシュ判定のリスクが、規格非適合企業にとっては高まる。
他社が参考にすべき点
- 既にカーボンニュートラル宣言している企業は要確認: 自社の宣言がISO 14068の手順に則っているか(削減・除去→最後にオフセットの順序か)を見直す必要がある
- オフセット購入先の選定も厳格化対象: どのクレジットを使うかだけでなく、「削減・除去を先に行ったうえでの残余への適用」であることを説明できる必要がある
- 中小企業への波及: 大企業のサプライヤーとして取引する中小企業も、取引先からISO 14068準拠の要求を受け始める可能性が高い
