概要
ネットゼロ(排出量と除去量が均衡)を達成しても、既に大気中に蓄積したCO₂は減らない。WRIは「ネットネガティブ排出」——除去量が排出量を上回る状態——の定義・必要規模・実装アプローチを整理した。IPCC・UNEPの最新シナリオでは1.5℃目標は一時的に超過するが、ネットネガティブによる「温度低下」が長期的に不可欠とされている。
実装ステップ
企業レベルの実装ロードマップ
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まず自社排出の急速削減を最優先
- 電力:100%再エネ調達(RE100・PPA)
- 建物:ZEB化・ヒートポンプ導入
- 輸送:EV転換・モーダルシフト
- 製造プロセス:電化・水素・CCS
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残存排出の定量化
- 削減困難なScope1/2/3の「ハードアバター排出」を特定
- 2030年・2035年・2050年時点の残存排出予測を作成
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炭素除去ポートフォリオの構築
- 自然系:森林保全・植林・マングローブ回復(短期対応・耐久性リスクあり)
- 技術系:バイオ炭・向上風化・BECCS・DAC+地質貯留(長期対応・高コスト)
- 比率設計:2030年は自然系中心 → 2040年以降は技術系比率を拡大
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質の高いクレジット購入
- 耐久性(100年以上の貯留保証)・追加性・可測定性の3要件を充足するクレジットを優先
- Frontier・MCCE等の先渡し購入プログラムへの参加
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政策支援の活用
- CDR購入義務化制度(各国で検討中)への早期対応
- 政府調達プログラムへの参加
- 測定・検証・報告(MRV)基準の整備への参画
使うツール・標準
- GHGプロトコル炭素除去ガイダンス
- SBTi ネットゼロ基準V2.0(残存排出と除去の扱い方)
- VCMI Claims Code of Practice(自発的炭素市場の使用ガイドライン)
- Puro.earth / CarbonPlan(高品質CDRクレジット検証プラットフォーム)
- Frontier(Stripe主導):DAC・CDR先渡し購入プログラム
成功のポイント
- 「まず削減、次に除去」の原則堅持:除去はあくまで残存排出への対処であり、削減の代替ではない
- 耐久性の優先:植林・草地回復は山火事・病害で失われやすい。技術的除去(地質貯留)は永続性が高い
- スケールの問題:現在のCDR量は年間2Gtに対し、必要規模はギガトン・オーダー。今から投資しなければ2050年に間に合わない
- MRV標準の統一:「何が1トンの除去を構成するか」の国際的合意が進行中であり、早期に準拠した体制整備が重要
日本企業への適用
日本では「カーボンニュートラル宣言」を行った企業でも、ネットゼロの次のステップとしてネットネガティブを語る事例はまだ少ない。ただしSBTi V2.0・ISSB S2が残存排出と除去の明確な区分を要求しており、CDRポートフォリオの早期構築は開示品質の向上に直結する。特に「2050年カーボンニュートラル」後の長期戦略として、今から技術系CDRへの先渡し購入契約を小規模から始めることが有効。
