実装のポイント

JR九州が2026年5月27日から、営業列車(YC1系)にHVO(Hydrotreated Vegetable Oil:水素化植物油)を最大40%混合して運用する実証実験を開始した。HVOの最大の特徴は「ドロップイン燃料」として既存ディーゼルエンジンや燃料タンクを一切改造せずに使えること。廃食用油・植物油を水素化精製して製造し、GHG削減と既存インフラ継続利用を両立する。

HVOの技術的優位性:

  • ドロップイン性: 既存エンジン・燃料タンク・給油設備の改造・改修が不要
  • 高混合比対応: 最大40%混合比(軽油60%+HVO40%)で運用
  • 廃棄物原料活用: 廃食用油・植物油を水素化精製して製造(サーキュラー利用)
  • 既存インフラ継続: 燃料供給設備の改修コストがかからない

具体的な手順

実証の設計と進め方:

  1. 燃料選定・調達: 伊藤忠エネクス製「FINE DIESEL」(HVOリニューアブルディーゼル)を選定・調達
  2. 混合比設定: 軽油に対して最大40%の割合でリニューアブルディーゼルを混合
  3. 対象車両・路線選定: YC1系3両編成の1両に定期的にHVOを給油、3路線で実施
  4. 構内検証フェーズ完了: 営業運行実証前に構内試運転等で安全性・動作確認を完了済み
  5. 営業運行実証: 2026年5月27日〜2028年3月まで実際の営業路線でデータ収集
  6. 継続計測: 燃費・エンジン性能・排気特性・CO2削減量を定量的に記録

HVO製造フロー(参考): 廃食用油・植物油 → 水素処理(加水素分解・脱酸素精製) → HVO → 軽油と混合 → 車両給油

得られた結果

  • エンジン改造なし・設備改修なしでの鉄道燃料脱炭素化の実現可能性を検証
  • 2年間の実証(〜2028年3月)でCO2削減量・燃費変化の実データを蓄積
  • 廃食用油由来原料によるサプライチェーン全体のGHG削減効果を評価
  • バス・建設機械・農機等への横展開の根拠となるドロップイン技術の実証データ確立