やったこと
JFEスチールをはじめとする日本の鉄鋼メーカーが参加する「グリーン鉄研究会(GX Steel)」が、2030年に向けた具体的な脱炭素製鉄のロードマップと技術実装計画を公表した。鉄鋼業は日本の産業部門CO2排出量の約38%を占める最大排出源であり、2024年実績で1億2,600万トンの排出量を抱える中、2030年比30%削減・2050年カーボンニュートラルを目標に掲げ、複数の技術経路を組み合わせたアプローチを進めている。
具体的な手順・工夫
水素還元製鉄
従来の高炉プロセスで石炭(コークス)が担う還元剤の役割を水素に置き換える技術。高炉改良型と直接還元炉(DRI)型の両アプローチを並行開発中。現段階ではコスト面での課題があるが、2030年代以降の本格導入に向けた実証設備の稼働が計画されている。
革新鉄スクラップ活用型電炉鋼(Novel Green Steel)
既存の電炉技術を活用しながら、不純物管理を強化した高品位スクラップを使用することで、従来電炉では難しかった高強度・高機能鋼の生産を実現する手法。JFEスチールは2030年に490万トンの「革新熱延鋼板」生産を目標として設定。段階的に低炭素鋼の比率を高める計画。
CFP(カーボンフットプリント)管理と開示
製品単位でのCO2排出量を算定し、購買企業が使用する鋼材のCFP情報を提供できる体制を整備。鉄鋼メーカー側が需要家企業のScope3排出量算定を支援する仕組みとなっている。
4本柱の行動領域
①グリーン鋼材の開発・供給、②自社製造プロセスのCFP削減、③関連産業のカーボンリダクション支援、④インフラ・設備投資の推進。これら4領域での進捗を3つのフォーラムを通じてモニタリングし、業界横断での知見共有を図っている。
得られた結果
- 2030年目標:グリーン鋼材1,000万トン規模への拡大
- JFEスチール革新熱延鋼板:2030年に490万トン生産見通し
- 業界全体のCO2排出量:2030年までに2013年比30%削減目標
- 研究会参加企業によるCFP開示インフラの共同構築が進行中
他社が参考にすべき点
単一技術への賭けではなく、水素還元(長期・大規模)と電炉高度化(中期・即効性)を並行させる「技術ポートフォリオ型」ロードマップ設計が参考になる。Scope3削減を求められる需要家企業にとっては、仕入れ鋼材のCFP数値を取引先から取得するための標準的な情報連携の枠組みが整いつつある点が重要。自動車・建設・機械メーカーは、今から仕入先鉄鋼メーカーとのCFP情報連携の仕組みを整備しておくことが2030年対応の鍵となる。