やったこと
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は自社排出(Scope 1&2)の2030年度ネットゼロを目標に掲げ、2024年度に中間目標(2020年度比50%削減)を計画より2年前倒しで達成した。テナントビル入居という制約のなかで、バーチャルPPAを主軸に複数の再エネ調達手法を組み合わせた点が特徴的だ。
具体的な手順・工夫
バーチャルPPAの活用
MUFGは賃借ビルへの入居が多く、電力契約そのものを切り替えることが困難という課題に直面した。この解決策として、新規建設の再エネ発電所から長期契約で「環境価値(非化石証書)」を購入するバーチャルPPAを採用。具体的には次の2案件を締結した。
- 北海道太平洋沿岸の牧草地に設置した太陽光発電所(土地の約10%を発電に活用しつつ約350頭の羊を放牧継続)
- 支店網が集中する中部地方の陸上風力発電所
次世代技術の実証導入
- ペロブスカイト薄膜太陽電池を自社支店・オフィスに試験導入
- AGCとの共同でビル統合型太陽光発電ガラスの実証を実施
- 洋上データセンターと再エネ発電・蓄電池を組み合わせた将来計画も始動
得られた結果
2024年度時点でScope 1&2を2020年度比50%削減、中間目標を2年前倒しで達成。バーチャルPPAにより物理的に電力調達契約を変えられないビルでも再エネ化が実現した。
他社が参考にすべき点
- 賃借ビル問題の突破口はバーチャルPPA:物件オーナーへの交渉が困難でも環境価値の別購入でScope 2削減が可能
- 新規電源への長期契約でアディショナリティを確保:既存の再エネからではなく、新設プロジェクトとPPAを結ぶことで社会全体の再エネ追加に貢献できる
- 実証プロジェクトを「学習コスト」と位置づける:ペロブスカイトや建材一体型PVは現時点ではコスト高でも、技術習熟と将来コスト低減に向けた先行投資として位置づける