研究の概要
再生可能エネルギーコミュニティ(REC:複数世帯・施設が太陽光などを共同利用する地域エネルギー共同体)の普及において、自家消費率(地産地消率)の最大化が経済性を左右する。本研究は、フランスの41世帯・太陽光発電付き地域コミュニティを対象に、電気温水器の動作スケジュールを制御して太陽光発電と需要を同期させるフレキシビリティ活用の効果を2段階(年間シミュレーション+実証実験)で評価した(Massé他15名、2026年)。
主な発見・成果
主要な定量成果は次の通りである。①コミュニティ全体の太陽光電力の自家消費率が6%向上。②自家生産(自家発電からの消費率)が22%向上。③世帯あたり平均70ユーロ/年のコスト削減効果。実証実験では技術的な動作は設計通りに機能したが、「需要側フレキシビリティの真の効果は、利用者のエンゲージメントと受容性に大きく依存する」という知見も得られた。一部世帯では設定変更への心理的抵抗やシステムへの不信感が参加率に影響した。
実務への応用
日本でもHEMS(家庭用エネルギー管理システム)や電力需給調整市場(DSO向けDR)の文脈で同様の知見が活用できる。①電気給湯器(エコキュート等)の夜間制御から昼間太陽光発電連動制御への切り替えは、需要家に追加負担なく再エネ自家消費を高める最も費用対効果の高い手段の一つ。②地域新電力や再エネコミュニティ事業者は、温水器制御をアグリゲーション対象リソースとして優先的に組み込むべき。③ユーザー受容性の観点から「制御の見える化」「制御結果のフィードバック」が導入率に直結することも本研究が示す重要な実務指針である。