やったこと

サントリーホールディングスと名古屋大学発スタートアップTOWINGが、飲料製造工程で生じる茶粕を原料に、高機能バイオ炭「宙炭(ちゅうたん)」を製造・農地施用する地域循環型モデルを2026年6月に九州・熊本で本格稼働させた。2025年5月から約1年の実証事業を経て商業規模への移行を達成した。

具体的な手順・工夫

  1. 原料収集: サントリーの飲料工場から生じる茶粕(製造残渣)を定期回収
  2. バイオ炭製造: TOWINGが保有する独自菌株から培養した微生物群を活用し、茶粕を炭化処理して高機能バイオ炭「宙炭」を製造。通常のバイオ炭と異なり、特定菌株の微生物群が炭の機能を高め、作物の根圏改善・保水性向上に寄与する
  3. 農地施用: 製造した宙炭を提携茶農家の圃場に施用。施用後の効果測定として同条件での比較区を設置し複数収穫期にわたって検証
  4. 循環の完結: 茶葉農場から収穫された茶葉の一部がサントリーの飲料製造に戻ることで地域内循環ループを形成

海外展開: タイでは稲わらを原料にサトウキビ畑への施用試験を2025年から実施中。農業残渣の野焼きによる大気汚染解消と作物安定化への応用を見込む。

得られた結果

2回の収穫期を通じた試験で、通常の有機肥料を使った栽培と比較して品質を維持しつつ収量が約30%増加。CO2の土壌固定(炭素貯留)による温室効果ガス削減効果も確認。九州・熊本施設での本格製造を開始し、提携茶農家への配布と持続可能農業への活用が継続中。

他社が参考にすべき点

  • 廃棄物の「原料化」発想: 処理コストがかかる製造残渣を外部スタートアップとの連携で収益性ある副産物に転換できる
  • 帰り荷ロジックの活用可能性: 農産物を調達する食品メーカーであれば、原料輸送の帰り荷でバイオ炭を農家に届けるスキームが成立しやすい
  • 二重の価値訴求: GHG削減(炭素固定)と農業生産性向上(収量30%増)を同時に達成できるため、投資対効果の説明が容易でサプライチェーン全体への説明力が高い
  • 実証設計の参考: 「同条件比較区設置+複数収穫期での継続検証」は実装効果を対外的に示す際の標準的なアプローチ