やったこと
清水建設は2026年6月10日、東京駅日本橋口前の再開発街区「TOKYO TORCH」において、解体建物(朝日生命大手町ビル)の外装アルミパネルを同一街区で建設中の「Torch Tower」の新築アルミサッシ原材料として再資源化することを発表した。建設業界におけるサーキュラーエコノミーを同一街区内で完結させた事例である。
具体的な手順・工夫
従来の問題点の把握 解体現場で回収されるアルミパネルの多くは、裏面に石綿を含有する樹脂状の防振材が塗布されているケースが多い。このため、アルミと石綿含有建材を分離できず、パネルごと石綿含有廃棄物として埋め立て処分されていた。廃アルミの水平リサイクルの最大の技術的障壁がこの石綿付着問題であった。
採用技術:S-Jet(超高圧ウォータージェット工法) 清水建設が独自開発した「S-Jet」を活用した。少水量型超高圧ウォータージェット工法であり、超高圧の水流を用いて石綿含有建材を少ない水量でアルミ母材から除去できる。この技術によりアルミパネルをスクラップ材としての有価売却水準まで品質向上させることが可能となった。
リサイクルの実施プロセス ①朝日生命大手町ビルの解体工事でアルミ外装パネルを回収(91トン) ②S-Jet工法で石綿含有防振材をアルミ母材から分離除去 ③有価スクラップとしてYKK APに引き渡し ④YKK APがアルミサッシの原材料として再生加工(約31トン分を再生アルミサッシ化) ⑤Torch Tower建設工事に再生アルミサッシを使用
同一街区完結モデルの意義 解体建物と新築建物が同一街区内に存在することで、回収・加工・活用のリサイクルループを地理的に近接した形で実現した。輸送距離の短縮と廃棄物の追跡可能性の向上も同時に達成している。
得られた結果
回収したアルミパネル91トンのうち約31トン分が再生アルミサッシとして新築建材に活用された(再生率約34%)。従来は石綿含有廃棄物として埋め立てされていた廃アルミが、有価スクラップとして循環利用される経路が開かれた。
他社が参考にすべき点
アルミ建材の水平リサイクルを阻んでいた石綿付着問題をS-Jet工法が解決した点は、再開発プロジェクトや大規模改修工事に携わるゼネコン・建設会社にとって参照価値が高い。再開発街区のように解体と新築が同時並行するプロジェクトでは、解体廃材を新築材料に転換する「閉ループリサイクル」計画を初期段階から設計に組み込むことが重要である。清水建設はアルミ以外の廃建材にも展開予定であり、建設廃棄物全体のサーキュラーエコノミー化への先行事例として業界標準に影響する可能性がある。