やったこと

EcoVadisとBCGが55,000社を対象に実施した分析から、Scope3削減においてサプライヤーエンゲージメントが圧倒的な効果を持つことが明らかになった。Kimberly-Clark社は、全サプライヤーの中から支出の65%・排出量の50%をカバーする上位200社に絞り込み、段階的なロードマップを策定した。

具体的な手順・工夫

1. サプライヤーを絞り込む 全サプライヤーから「支出ベース×排出インパクト」でパレート分析し、200社(全体の一部)に集中。少数精鋭で最大効果を狙う。

2. スペンドベースからプライマリデータへ移行 スペンドベース推計は実際の排出量と30〜50%乖離することがある(Thermo Fisher社の事例)。まずスペンドベースで全体像を把握しつつ、主要サプライヤーから実測データ収集を段階的に進める。

3. 「初心者から上級者まで」の進捗マトリクスを使う Kimberly-Clarkは各サプライヤーの現状レベルを評価し、それぞれの出発点に合わせた個別支援プランを提供。現状8%しかないサプライヤーのPCF(製品カーボンフットプリント)保有率を引き上げるため、「完璧でなくてよい、まず始めること」を原則とした。

4. 問うこと自体が変化を生む National Gridがエンジニアリング企業にサステナビリティ調査票を送付した事例では、経営陣が一夜にして省エネ投資プロジェクト全件を承認。「質問するだけで動く」という効果が確認されている。

得られた結果

  • サプライヤーエンゲージメントを行っている企業は、2030年削減目標を達成できる可能性が9倍高い
  • 小売業のScope3排出量は直接排出の21倍、Kimberly-Clarkでも総排出量の70%がScope3
  • 気候関連損失は2000年以来3.6兆ドル、保険料は毎年5〜7%上昇中

他社が参考にすべき点

製造・小売・消費財メーカー問わず、まずサプライヤーを「支出ベース×排出インパクト」で絞り込み、上位20〜30%に集中するのが最速ルート。スペンドベース推計の誤差(30〜50%)を前提に、主要サプライヤーから順次プライマリデータに切り替える計画を立てること。