研究の概要
ペロブスカイト太陽電池の量産化に向けた主要な技術的障壁の一つが、製造プロセスに必要な「制御雰囲気(窒素グローブボックス等)」の要件である。従来の製造ではペロブスカイト材料の湿度・酸素への敏感性から、クリーンルームや不活性ガス環境が必要とされてきた。本研究はNature Energyに発表され、「オープンエア(大気中)」でのペロブスカイト太陽電池製造を可能にする簡略化プロセスを実証した。
主な発見・成果
大気中での製造プロセスを実現することで、高コストな制御雰囲気設備(グローブボックス・乾燥室)が不要となる。これにより、ペロブスカイト太陽電池の製造コストが大幅に削減される可能性がある。研究では、大気中製造にもかかわらず高い光変換効率が維持されることが示されており、製造容易性と性能のトレードオフを克服した点が重要な成果である。この技術は、ロールツーロール(R2R)製造など大面積・連続製造への適用可能性を広げる。
実務への応用
太陽電池製造メーカー・新規参入企業にとって、制御雰囲気設備への設備投資が不要になることは、参入障壁を大幅に下げる。既存のロールツーロール製造ラインを持つフィルム製造業者が、ペロブスカイト太陽電池製造に参入できる可能性が高まる。また、製造コスト削減によりペロブスカイト太陽電池のグリッドパリティ(系統電力との価格競争力)達成時期が早まる可能性があり、再生可能エネルギー普及のコスト曲線に影響を与える技術として注目できる。