研究の概要

建物の冷房負荷削減と都市ヒートアイランド対策において、「輻射冷却(Radiative Cooling)」技術が注目されている。従来の輻射冷却コーティングは白色または反射性が高いが審美性に課題があった。本研究はNature Energyに掲載され、エチルセルロース材料を用いて鮮やかな構造色を実現しながら、同時に高い太陽反射率を維持して常温以下の冷却効果を達成するコーティング技術を開発した。

主な発見・成果

エチルセルロースベースの着色コーティングは、太陽光エネルギーを吸収することなく構造色による着色を実現した。この技術により、外気温より最大9°C低い温度を達成できることが実証された。従来の輻射冷却コーティングは白色のため建物デザインの制約となっていたが、本技術は多彩な色調での外壁・屋根への適用を可能にする。また、化学物質による着色(顔料・染料)と異なり構造色は光による退色がなく、長期的な冷却性能の維持が期待できる。

実務への応用

建設・リノベーション業界および建物のエネルギー管理担当者にとって、このコーティング技術は冷房エネルギー削減の新しい選択肢を提供する。特に日射量の多い地域(日本では西日本・沖縄)での建物外装材として、冷房電力の削減と建物の美観を両立できる。BEMS(建物エネルギー管理システム)の観点では、パッシブ冷却によるピーク電力削減が電力コストと系統負担の軽減に寄与する。