やったこと
日本では2028年度から延床面積5,000m²以上の建築物を対象に、計画から解体までの全ライフサイクルにおける温室効果ガス排出量(=建築物LCA)の算定・開示が義務化される予定だ。これに先行してフランスでは2022年から「RE2020」規制が段階的に施行されており、同国の実務経験が日本企業の準備に直接役立つ。
具体的な手順・工夫
フランスのRE2020では、建築物のエネルギー性能に加えて「建設から解体までを対象としたライフサイクル炭素評価」が設計プロセスに組み込まれた。重要なのは、LCAが「単なる事後報告書ではなく、設計初期段階からの意思決定ツール」になった点だ。具体的には、建材選定(木材vs.コンクリートvs.鉄骨の炭素換算比較)・工法選択・解体計画の設計への統合が実務の標準となった。Lab Vのラエリア・ヴォロー氏によると、RE2020施行後は「どの建材を選ぶかという判断軸がコストとLCA炭素量の両方で評価される」ようになり、低炭素建材サプライヤーとの調達関係の再構築が必要になったという。
得られた結果
フランスでは施行後、低炭素建材(CLT・RC軽量化・再生材)の採用率が急増し、建設業界全体でエンボディドカーボンの可視化インフラが整備された。設計事務所はLCAソフトウェア(例:OneClick LCA等)の習熟が必須スキルになり、建材メーカーにはEnvironmental Product Declaration(EPD)の整備が求められるようになった。
他社が参考にすべき点
日本の建設・不動産・建材製造業は2028年の義務化を前に今から準備が必要だ。①LCA算定ソフトの選定と試算、②主要建材のEPD取得状況の確認、③設計フロー初期段階へのLCA評価の組み込み、の3点を2027年までに完了しておくことが理想的なロードマップ。フランスの事例はそのベンチマークになる。