やったこと
省エネルギーセンター(ECCJ)が公開する平成23年度「省エネ大賞(省エネ事例部門)」の受賞内容を基に、経済産業大臣賞・資源エネルギー庁長官賞・節電賞を受賞した企業の省エネ実装手法を整理した。グローバル製造業からサービス業まで、規模・業種を超えて適用できる省エネのパターンと定量成果を抽出する。
具体的な手順・工夫
パナソニック(経済産業大臣賞・CGO企業等分野)
実装の柱は「CO2削減委員会(社長直轄・全世界294製造拠点)」の設置と、3段階の実装ループ:
- 見える化: 全拠点に計測器を設置しエネルギー使用状況をモニタリング
- 診断・改善: 社内省エネ診断専門家がグローバル診断を実施、削減提案を行う
- 横展開: 1100事例を日・英・中の3言語に翻訳し、海外グループに展開
非製造部門・物流・商品部門まで全方位展開し、原油換算374,000kl(2006年比)の省エネを実現。
デンソー(経済産業大臣賞・産業分野)
「エネルギーJIT(ジャストインタイム)構想」を工場エネルギー管理に適用:
- 必要な時・必要なだけ・必要なところに「適時・適量・適所・適材」でエネルギーを供給
- 圧空機の台数制御に生産情報を取り込み、必要量を演算して最効率の機器を自動選択
- 結果: 2010年エネルギー原単位は2008年比13%削減。供給JIT効果18,900千円/年(投資回収2.8年)
イオンディライト(節電賞)
全国2,000店舗のビルメンテ会社としての強みを活かした水平展開:
- 2008年「温暖化防止宣言」→2012年度に2006年比185万tのCO2削減を目標設定
- 3本柱: ①省エネ診断(運用改善・小規模投資・リニューアル)②定着化(設備台帳・管理標準整備)③人材育成(省エネ技術者資格制度)
- 22項目の設備施策(LED化・空調適切制御・冷凍機制御等)を各店舗で実施
- 結果: 2010年度は2006年度比原油換算41万klの省エネ達成。2011年度は前年比8,400万kWhの削減予測
三井化学・大阪石油化学・大阪ガス(共同実施・経済産業大臣賞)
異業種間連携による大規模省エネ:
- エチレン製造工場の冷凍機でLNG冷熱をー100℃〜20℃の広範囲でカスケード利用
- 4工場への展開でエクセルギー効率1.4%向上、原油換算13,000kl削減
得られた結果
| 企業 | 実績 |
|---|---|
| パナソニック | 原油換算374,000kl削減(全世界294拠点) |
| デンソー | エネルギー原単位13%削減 |
| イオンディライト | 原油換算41万kl削減(全国2,000店舗) |
| 三井化学・大阪ガス連携 | 原油換算13,000kl削減 |
他社が参考にすべき点
- 「エネルギーJIT」思想の普遍性: デンソーが生産管理の概念をエネルギー管理に転用した手法は、製造業全般に適用可能。特に「生産情報と連動したエネルギー制御」は、スマートファクトリー化・IoT導入済み工場での即時適用が可能。
- 水平展開の制度化: パナソニックの「診断専門家による全拠点診断→事例の多言語化→海外展開」のサイクルは、グローバル製造業の省エネ標準化手順として参照価値が高い。
- ビルメンテ業者の省エネ差別化戦略: イオンディライトの事例は、エネルギー管理を「設備メンテの延長」として差別化する手法。商業施設・テナントビルを対象とするビルメンテ会社のビジネスモデル転換の参考になる。
- 異業種連携の省エネ効果: 工場間のエネルギー融通(廃熱・廃冷熱の相互利用)は、単独では達成困難なレベルの省エネを実現する。工業団地・コンビナート型配置では積極的に検討すべきモデル。