実装のポイント
水素の燃料電池利用では通常、高純度水素が必要とされる。富士電機と東亞合成は2026年より、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)製造工程で生じる「副産水素」を水洗浄のみで利用する実証を開始した。この水素は水蒸気や微量不純物を含む未精製状態であり、精製コスト削減が商業化への鍵となる。
東亞合成の名古屋工場は既に電解工程で副産水素を発生させており、安定した水素供給インフラが存在する。これに富士電機の燃料電池システム制御技術を組み合わせることで、既存産業インフラを活用した分散型水素発電の実証を行う。
具体的な手順(実証の検証フロー)
- 副産水素の水洗浄処理:苛性ソーダ電解工程で発生する水素を水洗浄のみで処理し、精製精度を最小限に抑える
- 燃料電池モジュールへの供給:トヨタMIRAI搭載型燃料電池モジュールを使用。富士電機の制御・電力変換技術で系統連系
- 3項目の性能検証を実施:
- 発電効率:不純物含有水素での実際の効率低下量を計測
- 耐久性:不純物による燃料電池スタックへの長期的影響を評価
- ライフサイクルコスト:精製コスト削減と耐久性低下のトレードオフを定量化
- 商業化判断:3項目の検証結果をもとに精製グレードとコストの最適解を策定
得られた結果
本実証は2026年時点では進行中であり、定量的成果は未公表。ただし富士電機は1998年以来100件以上の燃料電池システム実績を持ち、東亞合成は副産水素の安定供給体制が既存する。産業副産水素の活用は、ゼロから水素製造インフラを整備するよりも低コストかつ短期間での実装が可能な経路として注目される。