やったこと

自然エネルギー財団(ISEP)が2026年7月17日に公表したレポートで、EUのエコデザイン規則(ESPR:Ecodesign for Sustainable Products Regulation)が日本の鉄鋼メーカーを中心とする製造業に与える実務的影響を分析した。「グリーン鉄」評価基準の設計と日本企業が取るべき具体的な対応ステップを整理。

具体的な手順・工夫

ESPRの構造:

  • CO2排出量を製品1トン当たりで定量化し、A〜Eのクラス分類を行う
  • 低排出材料(グリーン鉄等)は公共調達・補助金で優遇
  • 2030年以降、EU向け輸出製品は製品レベルの炭素フットプリント(PCF)データ提出が求められる見通し

日本企業に求められる対応ステップ:

  1. デフォルト値からの脱却:CBAMで使われる業界平均デフォルト値ではなく、自社工場・プロセス固有の「実測排出データ」に切り替える
  2. 製品レベルのトラッキング:会社全体の排出量ではなく、製品ロット・製造プロセス単位での炭素フットプリント計測体制を構築
  3. 電炉転換戦略の活用:2030年までに計画する大型電炉導入を早期に実現し、「低炭素鋼材」として国際認証を取得
  4. 公共調達市場の獲得:低PCF鋼材の産業調達・国際協定での優遇を活用して市場需要を先取り

評価上の課題:

  • CO2排出量のみの指標では高炉ルートが電炉ルートより有利になるケースがあり、循環経済(スクラップ活用等)の評価が不足している点が議論になっている

得られた結果(分析)

  • EU輸出向け鉄鋼では製品PCFの開示が2030年前後に事実上義務化の見通し
  • デフォルト値使用企業はEU市場での競争力低下リスク大
  • 電炉転換+PCFトラッキング体制を先行整備した企業が市場優位を獲得

他社が参考にすべき点

  • EU向け輸出を行う製造業全般(鉄鋼・アルミ・化学・機械)がESPR対応の直接対象。2030年以前から製品PCF計測を始めないと、開示要求が始まった時点で間に合わない。
  • 製品レベルのCFP計測には、製造工程のエネルギー消費データとスコープ別排出量の製品への配賦ルールの整備が必要。
  • 「会社全体のScope1+2削減」とは別に、「特定製品の製造に帰属するCO2」を切り出す計測体制がサプライヤーにも求められる時代が来る。