やったこと
自然エネルギー財団が2026年7月に発表した報告書では、累積6000件超まで拡大した営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)について、農水省が検討中の「遮光率30%未満」一律規制の妥当性を科学的に検証した。適切な設計と栽培管理により、30%以上の遮光率でも農業生産と発電を両立できる事例が存在することが示された。
具体的な手順・工夫
ソーラーシェアリングの基本設計アプローチ
作物が必要とする日射量は品種・地域・栽培方法によって異なるため、遮光率は一律ではなく以下の要素を総合評価して決定する必要がある:
- 作物特性の把握:日照要求量が高い作物(水稲・大豆)と比較的低くてよい作物(葉物野菜・薬草・有機栽培品種)で適切な遮光率が大きく異なる
- 地域の日照条件:日射量が豊富な地域ではパネルによる遮光の影響が相対的に小さい
- 設備設計の工夫:
- パネル間隔を広げて農作業機械が通れるスペースを確保
- 追尾型パネルで季節・時間帯による日射量をコントロール
- 双方向型(bifacial)パネルで地面からの反射光も活用
- 栽培方法の調整:遮光を活かして土壌水分の蒸発を抑制し、夏季の葉焼けや高温ストレスを軽減
成功事例の条件
- 遮光率30%以上で有機栽培に成功している実績が存在
- 「耕作放棄地の解消」と「地産地消の電力供給」を同時実現できるケースもある
- 市町村の基本計画策定(2025年3月末時点で112市町村・全国1718市町村の6.5%)が普及の行政的制約になっている
規制対応の実務
- 一時転用許可の申請にあたり、作物・設備設計・遮光率の科学的根拠を文書化して提出
- 農水省の2023年度調査では観賞用植物が件数ベースで36%を占めており、農業生産との両立実績データの蓄積が重要
得られた結果
- 2024年度で累積許可件数は6000件超に拡大
- 適切な設計・栽培管理で遮光率30%超でも農業生産との両立が実証されているケースが存在
- 一方で「30%未満」の一律規制案は科学的根拠が示されておらず、既存成功事例を違反にしてしまうリスクがある
他社・他団体が参考にすべき点
- 作物と設備を一体で設計する:発電量最大化ではなく農業生産との共存を前提に遮光率・パネル配置を決める
- データ蓄積と行政への提言:成功事例の生育データ・収量データを記録し、行政に科学的根拠として提示することが規制形成に影響する
- 農家・農業法人との連携:農地の一時転用許可は地権者の理解と基本計画策定市町村の協力が前提
- 2026年9月の法令施行前に設計見直しが必要になる可能性があるため、現在申請中・計画中の案件は規制動向を注視する