実装のポイント

長野県の八十二銀行は、2022年度に全店舗・グループのScope1・2排出量を実質ゼロにした。達成の核心は「省エネによる排出量削減」「再エネ電力化」「残余分のクレジット調達」という3層アプローチを順序立てて実装した点にある。特に「全量実質再生可能エネルギー化」を実現した手段として、オフサイトPPAによる自社発電所の建設とクレジット購入を組み合わせたことが注目点だ。

地域コンソーシアム(地域脱炭素推進コンソーシアム)への参加をきっかけとして専門支援企業(バイウィル)と連携し、段階的に施策を実装した。

具体的な手順

Step 1 – 省エネ施策の先行実施
全店舗のLED照明への切り替えと空調温度管理の徹底を実施。排出量の絶対値を削減することで、後続の再エネ化・クレジット調達に必要な量を最小化する。コスト効率が最も高い手順として省エネを先行させることがポイント。

Step 2 – ZEB認証新築店舗の建設
既存店舗改修ではなく、新築店舗はZEB(ゼロエネルギービル)認証を取得する仕様で建設。設計段階から外皮性能・高効率設備・再エネ導入を組み込み、竣工後のランニングコスト削減と排出量ゼロを実現する。

Step 3 – オフサイトPPAによる再エネ電力調達
3ヶ所のオフサイトPPA(構外電力購入契約)再エネ発電所を稼働させ、自社消費電力を再生可能エネルギー100%に切り替える。オフサイトPPAは自社敷地外に発電所を設置するため土地制約を受けにくく、まとまった電力量を確保しやすい。

Step 4 – J-クレジット・VCS認証クレジットによる残余分オフセット
PPAだけで賄えない分や証書化が必要な排出量については、国内J-クレジットおよびVCS(Verified Carbon Standard)認証の海外クレジットを調達してオフセット。バイウィルが「オフセット計画の設計支援」と「信頼できるクレジット調達代行」を担う。

得られた結果

2022年度にScope1・2の温室効果ガス排出量を実質ゼロに達成。次のフェーズとしてScope3対応として融資先450社の排出量把握を目標に設定し、金融機関として「融資ポートフォリオの脱炭素化」という新たな実装段階に進んでいる。