実装ステップ

CDPは2026年サイクルに4つの主要変更を加えた。9月中旬の提出期限に向け、以下の手順で対応する:

ステップ1:変更点の影響評価(今すぐ)

  • 海洋質問(新設・非スコア):shipping・沿岸インフラ・洋上エネルギー関連企業はデータ収集体制を今期中に整備する
  • 森林モジュール:対象商品がカカオ・コーヒー・天然ゴムに拡大。自社の調達品目を確認し、新規対象商品の供給者データ収集を開始
  • 気候質問:アダプテーション(気候適応)対策が「ガバナンスと財務計画に埋め込まれている」という証拠が必要。戦略文書だけでは不十分
  • 水安全質問:GRI 303準拠が必要。排水・汚染に関する詳細データの準備

ステップ2:スコアリング「必須基準」の再確認 必須基準(Essential Criteria)を満たさないと、他の回答品質にかかわらず上位スコアに到達できない。昨年の回答と今年の必須基準を照合し、変更点をリストアップする。

ステップ3:社内担当者のマッピング

  • 調達チーム:森林モジュール・Scope 3サプライチェーンデータ
  • リスク管理チーム:気候適応の財務影響評価
  • 施設管理チーム:水・廃棄物データ
  • 経営企画:アダプテーションのガバナンス統合証拠

ステップ4:回答作成の注意点 最も多い失敗は「前年回答の流用」。ガイダンスが変わっているため、必ず最新版対照で全回答を見直す。また、回答欄を空白にするのではなく「該当しない理由」を記述することで、スコア損失を防ぐ。

使うツール・標準

  • CDP気候変動質問書2026年版
  • ISSB IFRS S2(CDPが整合を強化)
  • CSRD(EU企業はCDPデータをCSRD開示へ再利用可能)
  • TNFD(自然関連情報開示タスクフォース・森林・水モジュールとの整合)
  • GRI 303(水安全モジュールの基準)

成功のポイント

  • 提出期限の2ヶ月前(7月中旬)から作業を開始し、データ収集ギャップの発見に十分な時間を確保する
  • 海洋質問は非スコアのうちにデータ収集体制を整え、次年度のスコア対象化に備える
  • CDP回答がISSB/CSRD/TNFDの各要件を同時に満たすよう設計することで、複数開示の作業効率を高める

日本企業への適用

日本では2025年のSSBJ基準公表により、ISSB準拠開示が大手上場企業に義務化される方向。CDPはISSB IFRS S2との整合を強化しており、CDP回答データをSSBJ開示の基礎データとして活用できる体制を整えることが効率的だ。特にScope 3の供給者データ収集とアダプテーション(物理リスク対応)の財務影響評価は、SSBJでも求められる内容であり、CDP対応と並行して整備すべき領域。