やったこと
2026年4月より、日本版排出量取引制度(GX-ETS)の第2フェーズが本格稼働。Scope1排出量が年間10万トン以上の企業(電力・鉄鋼・素材分野など300〜400社、日本全体の約6割をカバー)に排出枠義務が課された。RM NAVI掲載のリスク研究員コラム(山根未來氏)が2026年4月時点の市場動向を詳細に分析している。
具体的な手順・工夫
- GX-ETSの仕組み: 企業は決められた排出枠のもとで削減を行い、過不足分を他企業と売買可能。J-クレジットとJCM(二国間クレジット)は排出量の10%まで相殺に利用可。
- 排出枠の上下限価格(2026年度): 上限4,300円/t-CO2、下限1,700円/t-CO2(経産省案)。
- J-クレジット価格の現状: 2026年4月2日時点、省エネ系4,800円・再エネ電力5,199円と排出枠上限価格を上回る。義務対象企業にとってJ-クレジット購入の経済合理性はまだ限定的。
- パリ協定6条クレジット: COP29(2024年11月バクー)での6条合意を受け「実装とNDC活用」の段階へ移行中。6条2項・4項に基づくクレジットが各国のNDC達成にカウント可能に。
- JCM(二国間クレジット): GX-ETSで活用が認められているため、途上国との共同削減実績を持つ企業の関心が高まっている。
得られた結果
GX-ETS第2フェーズで義務対象企業が明確化されたものの、J-クレジット価格が上限価格を上回る現状では大量需要の本格化にはしばらく時間を要する見込み。一方で、J-クレジットの品質・産地・共益性を訴求する差別化戦略が需要喚起の鍵と分析されている。
他社が参考にすべき点
- Scope1が10万t/年未満の企業も、将来の義務化拡大を見越し今からJ-クレジット創出・購入を試行しておくと価格高騰前に有利なポジションを確保できる
- GX-ETS義務対象企業は上限価格(4,300円)とJ-クレジット市場価格の差を継続的にモニタリングし、最適なオフセット手段(排出枠購入 vs J-クレジット)を選択することが重要
- JCM・パリ協定6条クレジットなど国際クレジットも含めた多様なポートフォリオ設計が中長期的なコスト最適化につながる