やったこと
2026年7月29日、GHGプロトコルとISO(国際標準化機構)が、現在並立している企業向けGHG算定基準を一本化する統合基準を共同開発することを発表した。Scope1・2・3を統合した単一基準が2028年末に公表予定であり、企業の算定・報告負荷の大幅な軽減が期待される。
具体的な内容・統合の仕組み
統合される基準の範囲
- GHGプロトコル「企業算定・報告基準」(Scope1・2の中核基準)
- Scope2ガイダンス(購入電力の算定方法)
- Scope3基準(バリューチェーン算定)
- 開発中の「行動及び市場メカニズム(AMI)」(クレジット・証書の取り扱い)
- ISO 14064-1(組織レベルのGHG排出量・除去量算定・報告基準)
統合のメリット(発表内容から)
- 現在、GHGプロトコルとISO基準の両方に対応しなければならない企業の重複作業を解消
- 投資家・規制当局・取引先が要求するGHG報告書の一元化が可能になる
- 共同パブリックコメントにより、企業・投資家・政策当局が一つのプロセスで意見提出可能
想定される実務上の構造
- 基準は「2部構成」を予定:必須要件部分と利用者向け追加ガイダンス部分
- 市場・法域間の相互運用性向上(日本の規制報告・TCFD・GX-ETS等との整合性にも影響)
スケジュール
- 2027年第2四半期:統合基準案のパブリックコメント実施
- 2028年第4四半期:最終基準公表予定
他社が参考にすべき点
- 現行の社内算定体制を「移行前提」で整備する:2028年以降は新統合基準への移行が求められる見込み。現在GHGプロトコル準拠で算定している企業は、ISO 14064-1との整合性チェックを今から始めることで移行コストを分散できる
- Scope2のマーケット基準(市場基準)の扱いが重点項目:AMI統合により、グリーン電力証書(J-クレジット・非化石証書等)の算定への反映ルールが明確化される可能性が高い。証書調達戦略に影響を及ぼす
- 2027年のパブコメに参加する価値あり:自社に影響する部分(特にScope3カテゴリ別ガイダンス・市場メカニズム)についてパブリックコメントで意見提出できる
- 規制報告への影響:GX-ETSやサステナビリティ開示基準(ISSB)は既存のGHGプロトコルを参照しているため、統合基準への切り替えは国内規制上の報告変更にも波及する可能性がある