やったこと

鹿島建設・中国電力・デンカ・ランデスの4社が2008年から共同開発した「CO2-SUICOM」(炭素固定コンクリート)が製品化・供給網構築フェーズへ。2025年1月にNEDO「2024年度カーボンリサイクル事業成果報告会」で最新の実用化状況を発表。製品ラインナップ・サプライチェーン・新技術(生コン向け拡張・大阪万博への適用)の3点を報告した。

具体的な手順・工夫

CO2-SUICOMの技術核:炭酸化養生

  • 特殊混和材(γC₂S)をセメントに配合し、CO₂濃度80%の養生槽でコンクリートを硬化
  • 製造過程でCO₂を約100 kg/m³ 吸収固定(従来コンクリートの排出量+288 kg/m³に対し -109 kg/m³ = カーボンネガティブ)
  • CO2供給源: 火力発電所の排ガス・石油精製工場(岩谷産業ボンベ)・将来はDACも視野

製品ラインナップ(プレキャスト製品) インターロッキングブロック、歩車道境界ブロック、太陽光パネル基礎、コンクリート型枠、プレキャストパネル等。2021年以降に岡山・広島から全国12業界団体へ供給網を拡張。

コスト低減版の開発 CO₂固定量を若干抑えてコストを従来品比約33%削減した新グレードを開発。普及のボトルネックだった価格障壁を解消。

生コン(現場打設)への拡張が最大の普及テコ

市場規模年間使用量CO₂排出量
プレキャスト1,500万m³450万t
生コン(現場打設)8,200万m³2,500万t

大崎上島(NEDO研究拠点)での実証試験:

  • コンクリート内部にパイプを埋設し内側からCO₂を注入する炭酸化工法
  • テント型養生設備で構造物全体を覆い外部からCO₂を供給する工法
  • どちらも土木学会で論文発表済み

大阪・関西万博への適用 NEDO GI基金「CUCOコンソーシアム」(鹿島ら55社・大学・機関)の成果として、万博パビリオンにCUCO-SUICOMドーム・テトラポッドを施工。

得られた結果

CO2-SUICOMは「カーボンリサイクル」の代表的な国産実装例として、セメント・コンクリート業界での実績が積み上がっている。12業界団体とのサプライチェーン構築により商業流通ルートを確立。今後は生コン市場(プレキャストの約5倍)への展開がScope1大幅削減の鍵。

他社が参考にすべき点

製造業でCCUS・カーボンリサイクルを検討する場合、「CO₂を排出する側」でなく「CO₂を固定する製品・素材を採用する側」になることで間接的なScope3削減(Cat.1 購入製品)につながる。建設・土木発注者はCO2-SUICOMを仕様書に盛り込むことで、建設段階のEmbodied Carbonを削減できる(プレキャスト製品から試験採用しやすい)。鹿島への技術ライセンスではなく、業界団体経由の供給網が確立されているため、JIS規格品として調達コストを直接比較検討できる段階。