やったこと
日立製作所が開発した統合エネルギー・設備管理システム「EMilia」(2017年提供開始)を活用し、工場・オフィス・地域コミュニティのScope1・2削減を実現する取り組みを日立評論(2023年)で公表。単なる「見える化ツール」ではなく、需要予測→最適運用計画→設備制御の3フェーズを一体化した「実行型EMS」として設計されている。
具体的な手順・工夫
EMiliaの4つの機能層
① 需要予測(Demand Prediction)
- 天候・生産スケジュールと連動して電力・熱需要を予測
- 太陽光発電出力予測も統合し、自家消費最大化を計算
② 最適運用計画(Optimal Operational Planning)
- 目的関数: コスト最小化 + CO2排出量最小化の多目的最適化
- 電力市場価格(JEPX)・非化石証書価格・CO2排出係数の変動をリアルタイムで取り込み
- 設備ごとの運転制約(定期点検・起動停止インターバル・効率特性)を考慮
- 結果として「どの設備をどの負荷率で動かすか」を15分単位で自動スケジューリング
③ 設備制御(Equipment Control)
- EMiliaからリソース制御システムへ指令を出し、CGS(コジェネ)・蓄電池・空調を自動制御
- 需要予測と実績のフィードバックループにより精度を継続改善
④ 需給調整市場対応(Balancing Market Functions)
- 2021年4月設立の電力需給調整市場(アグリゲーターモデル)に対応
- OpenADR 2.0bプロトコルでアグリゲーションコーディネーター(AC)と連携
- 調整力を市場提供することでインセンティブ収入を得ながら再エネ導入を促進
適用スコープ
- FEMS(工場)・BEMS(建物)・CEMS(コミュニティ)・マルチサイト統合管理
- 地理的に分散した複数拠点の集中エネルギー管理・行政報告自動化にも対応
得られた結果
- 従来の「見える化止まり」のEMSと比べ、より深い省エネ(制御自動化による機会損失ゼロ)を実現
- 蓄電池・太陽光・CGSの最適協調制御により自家消費率と再エネ使用率を同時向上
- 需給調整市場参加でインセンティブ収入を創出し、脱炭素投資の回収を加速
- Scope1(CGS燃料)とScope2(購入電力)のKPIをダッシュボード1画面で管理
他社が参考にすべき点
工場EMSを導入する際の段階論: ①まず「見える化ツール」で無駄を特定(LED化・コンプレッサー漏れ修理等)→ ②次に「制御型EMS」(EMilia等)で最適運用計画を自動化し、ヒューマンエラーと機会損失を排除 → ③需給調整市場に参加してインセンティブ収入を得つつグリッド安定化にも貢献。日立EMiliaのような制御型EMSは、Scope2の購入電力比率が高い大規模工場(第一種・第二種エネルギー管理指定工場)に特に効果が大きい。省エネ診断とセットで導入を検討するとROI計算が明確になる。
